英ヴァージン航空、持続可能な燃料「SAF」で初の大西洋横断

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英国のヴァージン・アトランティック航空は11月28日、航空業界の脱炭素化の切り札として期待されるSAF(Sustainable Aviation Fuel)燃料を使用した初の大西洋横断商業フライトを開始した。

ボーイング787型機を用いたデモフライトは、28日にヒースロー国際空港を離陸し、ジョン・F・ケネディ国際空港に向かった。このフライトには、ヴァージン社の創業者のリチャード・ブランソンや英国のマーク・ハーパー運輸長官らが搭乗した。

ヴァージン社は以前、2030年までに燃料消費の10%をSAFにすることを約束し、すでに英米間のフライトの燃料として年間7000万ガロンを購入することに合意している。

業界団体の国際航空運送協会(IATA)によると、SAFはすでに商用フライトで少量が使用されているが、2022年に使用された世界のジェット燃料全体のわずか0.1%に過ぎないという。SAFはジェット燃料よりもかなり高価で、供給量も少ないとされている。

この燃料は通常、バイオマスと廃棄物から作られる。ヴァージン社が使用するSAFは、使用済みの食用油や非食用の作物、バイオマス廃棄物、製鉄などの工程で発生する産業廃棄ガスから作られていると同社は述べている。

IATAは、加盟航空会社が2050年までに炭素排出量をゼロにすることを目指す中で、バイオ燃料が「ネットゼロに移行するための最大のテコになる」と述べている。同団体はまた、航空業界が電気や水素を動力源とする航空機などの新技術に投資し、カーボンオフセットや炭素回収技術を拡大する必要があると指摘した。

多くの環境保護団体や活動家は、SAFを批判し、業界は持続不可能な輸送形態を「グリーンウォッシュ」しようとしていると主張している。グリーンピースによると、SAFは飼料作物を原料に用いる場合が多く、マレーシアやインドネシアではすでに森林にダメージを与え、生物の多様性を脅かしているという。

英国王立協会は2月に発表した研究で、SAFが大規模に製造できない場合、航空会社は従来の燃料を使用し続ける必要があると指摘した。「航空機の脱炭素化には単一の単純な答えがないことは明らかだ」と同団体は述べている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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