“民宿”では、その宿でどれくらいのサービスが提供されるのか即座には把握できないが、Airbnbでは、すでに使ったユーザーの評価ポイントやコメントに代表される様々な情報がアプリ上で提供される。さらにAirbnb社からのサポート機能も充実していて、かなりの安心感を持って利用することができた。
そんな民泊の良さが、「ルノー・プラグイン」にも生かされている。
ルノー以外のEV車にも使える
このサービスは、2023年2月21日にルノーおよび担当広告会社の社員と、登録された一部のユーザーで試験的に運用を開始。いくつかのステップを経て、4月上旬にはテレビCMなども開始し、全面的にローンチされた。Renault - Plug Inn (case study) Creative Strategy Grand Prix at the Cannes Lions 2023より
結果として、わずか2週間で1万6000ものアプリユーザーを獲得し、1億回以上表示された。記事や番組、SNSで取り上げられた量は広告費換算で8000万円以上と推計される。
「ルノー・プラグイン」は、EVユーザーにとっては「充電できないかも」という不安が解消され、田舎町の充電器オーナーにとっては小遣い稼ぎができるというウィン-ウィンの状況をもたらした。さらにルノーの施策がイマドキだと感じるのは、このアプリはルノー以外のEV車ユーザーでも使えるということだ。
そうすることで、ルノーは、充電場所不足というEV車を巡る社会課題をひとつ解決した。EV車のリーディング・カンパニーという認識を獲得することができるのだ。
もう1つ感じるのは、この事例もAirbnbも、はたまたシェアライドのUberにも言えることだが、欧米の企業は、テクノロジーを使ってネットワークを築き、結果として世の中の課題を解決することに大変に長じているということだ。
公共や従来の組織の動きはどうみてもスピードに欠け、“イマの解決”にはつながらない。フランスの公共の充電場所も、2030年には40万カ所に増える予定だったそうだが、そんなの待ってはいられない。だったら自分たちで、アイデアとテクノロジーとネットワーク力を使って、“別の解決法”を実現してしまえ!というわけだ。
こうしたメンタリティやマインドセットは、日本のビジネスパーソンである我々も、ぜひとも取り入れたいものだ。