カリフォルニア州の連邦裁判所に提出された訴えによると、ベトナムに住む素性の知れない3人の人物が、AIチャットボット「Bard」の偽広告を作成した。
そのリンクをクリックした人々は、マルウェアをダウンロードしてしまい、ソーシャルメディアのログイン情報を盗まれたと訴訟は述べている。
グーグルは、詐欺師が偽のプロフィールを設定するのを止める命令と、米国のドメインレジストラで偽のページを無効にすることを求め、 商標権侵害と契約違反で詐欺師を訴えている。
訴えによると、被告たちは「しばしば」「大規模なソーシャルメディアプラットフォームでビジネスアカウントや広告アカウント」を持つ中小企業などを狙っていた。
グーグルは被告らの「本当の名前と能力を知らない」ため「仮の名前」で訴えており、本当の名前が判明した場合は「修正」するという。グーグルは、詐欺に使われたGoogleドライブのリンクが、グーグルのベトナム向け利用規約に同意したユーザーによって作成されていたことから被告らを追跡できたという。
グーグルの詐欺師に対する取り締まりが成功すれば、将来的にユーザーを保護するために他の大手テック企業が同様のAI詐欺を追及する前例となる可能性があると、グーグルのハリマ・デレイン・プラドはブログで述べている。
今回の訴訟は「消費者と中小企業を保護し、技術革新の分野で必要な判例を確立するための法的戦略」の一環であるとデレイン・プラドは述べた。デレイン・プラドによると、グーグルは今年4月以来、偽広告に関連する約300件の削除命令を提出しているという。
昨年来、オンラインや電話での詐欺や攻撃は増加傾向にある。2022年のFBIの「インターネット犯罪報告書」によると、2021年に米国人はオンライン詐欺で約69億ドル(約1兆500億円)を失っており、2022年には102億ドル以上(約1兆5500億円)に達したという。専門家はABCニュースに対し、AIに関連した詐欺が増えていると話している。例えば、今年初め、娘の声を使った詐欺師が、母親に誘拐されたと電話をし、身代金を要求したという話もある。
グーグルはまた、著作権所有者がオンライン上で作品を盗まれないように保護する法律であるデジタルミレニアム著作権法を「悪用」したとして、詐欺師グループを提訴している。デレイン・プラドによると、詐欺師たちは何十ものGoogleアカウントを設定し、他社に対して何千もの偽の著作権請求を提出したという。
(forbes.com 原文)