食べられないお米を紙にアップサイクル フードロス対策と米需要の増大を目指す

プレスリリースより

フードロス対策には賞味期限切れや規格外で廃棄された食品を食べるほかに、別のものにアップサイクルする方法もある。明治時代に紙問屋としてスタートした老舗企業が、食べられなくなったお米から紙を作る技術を開発し商品化した。その売り上げの一部がフードバンクに寄付されることで、食べられるものの循環にも貢献するという。

お米で作る紙「kome-kami」は、紙の卸販売や開発を行うペーパルが2021年に開発した紙素材。賞味期限切れの備蓄米、破砕米、くず米、酒蔵の際のお米の削りカスなど、食用に適さないお米を粉末にして、FSC認証(森林の生物多様性を守り社会的にも適切に生産された製品に与えられる認証)を受けたパルプに混ぜて作られる。こうすることで、通常の紙よりも製造によって排出される二酸化炭素量を43.8キログラム削減できるようになった。

それが今年11月、さらに進化した。紙は破れにくくするためにパルプの結合を高める化学薬品が使われるのだが、それを新しく開発した米糊「コメバインド」に完全に置き換えた。それにより二酸化炭素削減量が増え、紙1ロット(5トン)あたり杉の木にして7本分の年間吸収量に匹敵する62.5キログラムを達成できた。

日本では、古くから米粉を使って古紙を白く再生するなど、紙作りにお米を利用してきた。kome-kamiも、表面はラフだが白くてしっとりした感じで、インクの乗りがいいという。

ペーパルは2020年に環境に配慮した紙の開発を始めた。これまでに、クラフトビールのモルト粕を使ったクラフト紙「クラフトビールペーパー」や茶殻を使った「茶紙」などを「フードロスペーパー」として生産している。同社は、kome-kamiの売り上げの1パーセントをフードバンクに寄付することにしているが、同時にこれがお米の需要拡大につながればと考えている。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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