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2023.11.08

米ナイキがニューバランスなどを提訴、「フライニット」の特許権侵害で

Nike

米スポーツ用品大手のNIKE(ナイキ)は11月6日、競合のニューバランスとスケッチャーズの2社を提訴した。ナイキは、同社が10年以上をかけて開発した画期的な特許技術の「Nike Flyknit(フライニット)」をこの2社が無断で使用していると主張している。

フライニットは、ソールより上の「アッパー」部分に使われる技術で、軽量かつサポート性に優れたシューズを作ることを可能にする。

ナイキは、ニューバランスに特許技術の違法使用を止めるように伝えたが、同社はこれを拒否し「侵害行為の範囲をエスカレートさせたのみだった」と主張している。また、スケッチャーズによる特許侵害も「これが初めてではない」という。

ナイキは、同社の特許技術を利用しているこの2社のシューズの販売を阻止するよう裁判官に要請し、不特定の損害賠償を求めている。

ニューバランスは、CBSニュースの取材に対し「ナイキは、この業界で何十年も使われてきた伝統的な製造方法を独占するための権利を所有していない」と述べた。スケッチャーズの代理人は、係争中の訴訟についてはコメントしないと述べた。

ナイキは同じ技術を盗んだとして、アディダスとプーマを提訴したが、アディダスとは2022年に、プーマとは2020年に和解が成立している。ナイキはまた、今年初めにルルレモンを提訴し、この訴訟は現在も続いている。

ニューヨーク大学の「センター・フォー・サステナブル・ビジネス(CSB)」は2016年、ナイキのフライニット技術を持続可能性に関するケーススタディで取り上げた。この研究は、フライニットが「持続可能なイノベーションにおける根本的なブレークスルー」であると評価し、快適でパフォーマンスの高いスニーカーという運動要求を満たすと同時に、製造時の廃棄物を削減するとした。

ナイキは10年以上の歳月と200もの試作品を経て、いくつかの素材を接着したり縫い合わせたりする代わりに連続した1本の糸を使ってシューズを作る特許製法を開発した。ニューヨーク大学によると、ナイキは無駄な端材を減らし、使用する素材の数を減らすことで廃棄物を80%削減することに成功したという。

「ナイキのフライニットシューズは、過去40年以上のスニーカーのイノベーションの中で最も画期的なものだ」とニューヨーク大学の研究は述べている。

フォーブスは、ナイキの共同創業者のフィル・ナイトの保有資産を431億ドル(約6兆5000億円)と試算している。一方、ルルレモンの創業者のチップ・ウィルソンの資産は61億ドル、ニューバランスの会長でオーナーのジム・デイビスの資産は50億ドルと試算されている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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