元グーグルのAIエンジニア2人が起業
シャゼールとデ・フレイタスはグーグルでAIエンジニアとして勤務にしていたときに出会い、2017年に、現在の生成AIブームの先駆けとされる深層学習モデルの「トランスフォーマー」の論文を共同執筆していた。しかし2021年に、この技術を消費者向けアプリケーションに導入する際に社内の官僚的な障害にぶつかったという理由で、2人は会社を去った。グーグルに20年も在籍したベテラン社員のシャゼールは、CEOのスンダー・ピチャイからも個人的に慰留されたという。「ピチャイは私に会社に残ることを勧めてくれました。しかし、私はこの技術を可能な限り多くの人に広め、すべての人に力を与えたかったのです。それは正しい決断だったと思います」とシャゼールは7月のフォーブスのインタビューで語っていた。
「グーグルはその当時、なんでも話せるようなプロダクトをリリースする準備ができていなかった。私がやりたいものを立ち上げるのであれば、外部のスタートアップである必要があったのです」
2人がCharacter.AIを設立したのは2021年11月のことで、OpenAIがChatGPTを発表し、世間のAIに対する関心が高まる1年前のタイミングだった。グーグルは今年2月にBardを発表したが、その間にCharacter.AIはニッチな領域を切り開き続けてきた。
目標はAGI(汎用人工知能)の実現
彼らと同様なAIコンパニオンを提供するスタートアップには、ReplikaやChaiなどが挙げられるが、ザッカーバーグが乗り込んでくるまで、この分野にビッグテックからの挑戦者はいなかった。しかしシャゼールは、こうした競争相手にも動じないと主張する。「私たちは2兆ドル規模のレガシーなエンタメ産業、たとえばゲームや本や映画と競合しているのです。というのも、人々が求めているものは、楽しさや社会的な交流などの多くの点で同じだからです」
これまでCharacter.AIのチャットボットは1000個のエヌビディアのA100 GPUチップを使って構築されてきたが、同社は最終的に独自のGPUクラスタを構築することを検討しているという。
シャゼールは、新たなAIモデルによって同社の技術がAGIに近づき、エンタメ以外のユースケースの幅を広げることに賭けている。「AIはまだ過小評価されていると思います。なぜなら、今後数年で可能になることは、現在可能なことに比べて本当にすばらしいものになるからです」と彼はいう。
Character.AIのグループチャットも同様の進化を果たし、やがては、複数のボットが人間のメッセージに自動応答するようになるとシャゼールはいう。「将来的には、AIキャラクターが、あなたと誰かを引き合わせて会話をリードするかもしれない。そうなれば、魔法のような瞬間になると思います」と彼は語った。
(forbes.com 原文)