ギョベクリテペで見つかったのは、等身大のイノシシの像。H字型のシンボル、三日月、2匹の蛇、3人の人の顔が彫られた石のベンチの上にあったものだ。これには赤、白、黒の顔料が残っていた。実物大の彫刻で顔料の痕跡が見つかったのは、これが初めてだという。
ギョベクリテペから30キロメートルほど離れ、同様に巨大なT字型石柱のある古代遺跡カラハンテペで見つかったのは、ベンチに座る高さ2.45メートルの人の彫像。この時代のものとしては、発見されたなかで世界最大とのことだ。

それまでは、農耕の開始により人々が定住し街が発展すると宗教指導者が現れ神殿が建てられる、というのが都市の発展の定説だったのだが、ギョベクリテペは農耕より先に建てられている。ドイツ考古学研究所で2014年に亡くなるまでギョベクリテペの発掘調査を率いた考古学者クラウス・シュミット氏は「先に寺院ができて次に街ができた」と話している。
人類史の定説を覆すばかりか、エジプトのピラミッドができるより数千年も前に数十トンもある巨石で神殿を建設したこと、また、神殿は古いものの上に3層に重なっていることなど、ギョベクリテペはとにかく謎が多い。考古学ファンのみならず人類の文明は宇宙人がもたらしたと信じるオカルトファンの間でも大人気スポットだ。今回の発見が古代文明の謎を解き明かすのか、さらに謎を深めることになるのか、いずれにせよ調査の行方が楽しみだ。
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