これはただのStrv122ではない。公式サイトで公開されたゼレンスキー大統領の前線訪問の写真をよく見ると、Strvの側面と砲塔上部に独特の損傷があることに気づくかもしれない。
この損傷は、写真の戦車が、9月下旬にスバトベの西約16kmでロシア軍が繰り返しダメージを加えた戦車と同じものであることを示す決定的な証拠だ。ロシア側がソーシャルメディアに投稿した動画には、爆発物を積んだドローンが2両のStrv 122を攻撃する様子が映っている。
映像にある2両の戦車は地雷を踏んで動けなくなっているように見える。乗員が脱出し、置き去りになったStrv 122はドローンに捉えられ、格好の標的となった。
ロシアの国営メディアはこの攻撃を華々しく取り上げた。「ロシア軍のドローンがスバトベの東でスウェーデン供与のStrv 122戦車2両を損傷させ、完全に破壊しようとしている」とタス通信は報じている。
3週間前、Strv 122の運命は分かれ道にあった。戦車がドローンの猛攻撃に耐えて完全に破壊されなければ、ウクライナ軍の工兵らは修理のために戦車を回収するかもしれない。
The vehicle was recovered. https://t.co/C7fCw7i83H pic.twitter.com/JlmPStII1D
— 2S7 pion (trost) (@Trotes936897) October 3, 2023
Strv 122が攻撃をしのいだことは何ら驚くことではない。重量69トン、乗員4人のStrv 122はドイツのレオパルト2A5戦車を改修したもので、世界で最も防御力の高い戦車の1つだ。レオパルト2A5をStrv 122に改造するために、スウェーデンはレオパルト2A5がすでに備えていたすばらしい複合装甲の3カ所にさらに複合装甲を追加した。
この追加の装甲は「斜堤」と呼ばれる車体の前面、そして砲塔の前面と上部を保護している。1990年代半ばにスウェーデンでStrv 122が生産されていたとき、爆薬を積んだ1人称視点(FPV)ドローンが30年後に殺傷能力の高い対戦車兵器になるとは予想されていなかったに違いない。
そのため、スウェーデンが砲塔上部に追加した装甲がドローンからの攻撃の影響を和らげる絶妙な位置にあったのは幸運だった。その偶然のおかげで、スバトベ郊外の寂しい野原で丸焼けになる代わりに、損傷したStrv 122は大統領の視察に立ち会うことができた。
第21旅団は間違いなくこの戦車を修理して戦線に戻すつもりだろう。損傷したもう1両のStrv 122がどうなったのかはまだ不明だ。いずれにせよ、ウクライナ軍のレオパルト2や派生型の戦車が損傷し、修理されて再び戦闘に投入されるのは日常的なことになりつつある。
(forbes.com 原文)