次に出会ったのは、野村さんの成人式。山添町長のお祝いの言葉に対し、野村さんが新成人代表の謝辞を述べ、そして時は過ぎ、Iターンを経ていまでは一緒に与謝野町を活性化しようとタッグを組んでいるのも、また素敵なご縁です。
そして夕方になり「与謝野町のホップ畑を案内します」と山添さんに言われ、ドレスコードは白色でと指定をされ着替えて移動。車で案内していただくとホップ畑には素敵な光景が広がっていました。
圃場に、テーブルと椅子がセットされ、ホップに囲まれた中でアペロ(食前酒とおつまみの簡単なパーティー)をたのしむことができる、という粋な仕掛けが。
その土地で取れたものを、その土地を愛する人達が丹精込めて加工して美味しいビールを作り上げ、そしてゆっくりと味わい、語らう時間。
なんと豊かなことでしょう。
ラグジュアリーとは、贅沢で豪華なものを意味してきました。
単に贅沢や高価であるということではなく、その土地でなければ味わえない貴重で豊かな体験や時間を過ごすことができることを「ローカルラグジュアリー」と定義したいと私は思います。
地域の方々が誇りとともに育んでいる文化的あるいは経済的な営みにこそ、ローカルラグジュアリーとしての価値を見出しうると思います。
政府はこれから産業の柱の一つとして観光誘客を掲げます。コロナ禍が明け、インバウンドも急激に戻りつつあります。しかしその実、外国人観光客の宿泊地を見ると、全体の65%が東京、大阪、京都、北海道、沖縄に集中しています。しかも観光地の上位10位までで80%を占めているといるという現実。そして、2週間以上の滞在も珍しくない欧米の観光客や富裕層は通り一遍な観光地巡りではなく、「本当の日本の魅力」を求めていると言われています。
まさに、歴史や文化に根ざし、その土地でなければ味わえない唯一無二を体感できる「ローカルラグジュアリー」こそが、これから求められる地域振興のキーワードだと思うのです。
土地の風土、歴史、産業や記憶、そして人。
クスカの工房で今に息づく丹後ちりめんの歴史を体感し、新たに取り組むホップ畑や、若者の挑戦から生まれたブルワリー。そして、ジビエなど地のものを生かした食と酒。これらは、まさにローカルラグジュアリーと言えるでしょう。
単に贅沢や高価であるということではなく、その土地でなければ味わえない貴重で豊かな体験や時間を過ごすことが、今回の与謝野町の滞在で実感することができました。