高回転域は8500rpmのレッドゾーン付近までしっかりとパワーが出せる。いうまでもなくその域ではあきれるほど速く、アクセルのレスポンスも素晴らしく速くて気持ちが良い。ドライブモードの設定はスタンダードモデルと共通で、「スポーツ」や「トラック」など4種類のモードが用意されているので、その時の気分に合わせられる。
話はエンジンサウンドに戻るけど、Z06は確かに今までのサウンドとは打って変わって、もっと抑えた欧州流の高性能車に似てきた。そのため、「Z06だからこそ、もう少し激しい音作りして欲しかった」という声はしょっちゅう聞く。まるで有名なアメリカ人のロック・ミュージシャンがイタリアに国籍を変えたかのような感覚がする。
だから、皆さんが思い浮かべる「ボボボ」よりも、フェラーリーの「ビャーーーん」のような音になっている。
ハンドリングも驚くほどピンポイント。ステアリングは、今までのどのコルベットよりも、ターンインがシャープで全然遊びがなく、丁寧に気持ちよくコーナーを処理してくれる。いずれにせよ、このエンジンはスムーズで、とてもコンフォタブルだ。街中を何の問題もなく走り回る。ギアボックスは滑らかで、静かに有能にレシオ間をシャッフルしてくれるので、本物のレーシング・エンジンであることを忘れてしまうほどだ。
内装も期待通り、ドライバー中心にデザインされている。真っ赤なシートとハンドルに加えて赤いシートベルトはその気にさせてくれる。ハンドルは円形ではなくて、上と下の部分が平らになっていて、その感じが非常にスポーティで操作しやすい。ただ、センターコンソールから流れる60cmほどの長いエアコンのスイッチパネルの操作は少し迷う時がある。これは慣れが必要だね。シートは半分レザー、半分アルカンターラなので、速いコーナーでも体が横にズレない。