北米

2023.09.19

米陸軍の最も重要な戦闘ツール それは武器ではなく「通信網」

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このネットワークは、米宇宙軍が地球低軌道に配備を増やしている通信衛星リンクに多くを依存している。最重要情報の一部は、F35戦闘機や各種ドローンなど、他軍種の航空戦力とのLOS通信を介して届く可能性もある。

米国防総省が描くネットワーク化された軍隊の将来像は、いつの日かすべての軍種がシームレスにつながり、戦時には統合された組織として機能できるようになることだ。

だが、現時点では、陸軍は部隊間の連携だけで苦労している。他軍種から必須データを受け取る実験を行ったことはあるが、日常的な慣行になるまではまだ時間がかかるだろう。陸軍は当面、戦術ネットワークを介して現場の兵士全員に次の6つの最重要機能を提供しようとしている。

・アクセシビリティ

どれほど劣悪な状況下であろうと、最低限、すべての兵士がネットワークにアクセスできなければならない。そのためには堅牢な技術はもちろん、使用者が直感的に把握できるシンプルなデザインも必要となる。

・即時性

戦闘の展開が速い場合、情報はすぐに届かなければ役に立たない。地球低軌道上に運輸衛星を配備する理由の1つは、レイテンシ(信号が目的の受信者に届くまでにかかる通信の遅延時間)を最小限に抑えるためである。

・容量

戦術通信の中には、動画など送信に高速な通信速度を要するものがある。したがって戦術ネットワークには、高速でアクセスしやすいことに加え、想定可能なあらゆるデータ・音声通信を伝送できる容量が求められる。

・柔軟性

これらの機能を固定地点から提供するだけでは不十分だ。戦闘において固定設備は標的となりやすい。ネットワークの必須要素は移動可能で、複数のチャネルを利用してリンクを維持できなければならない。

・復元力

戦術ネットワークには、爆弾やロケット砲などの弾薬を用いたキネティック攻撃と、電子信号による通信妨害を主とする非キネティック攻撃の両方に対し、十分な耐久性が求められる。

・セキュリティー

戦術通信は、敵による傍受や情報搾取を避けるため暗号化されている必要がある。米陸軍の計画立案者は、中国などの敵対勢力によるマルウエア攻撃やネットワーク侵入を特に懸念している。
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翻訳・編集=荻原藤緒

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