北米

2023.09.19 13:30

米陸軍の最も重要な戦闘ツール それは武器ではなく「通信網」

これら6つの設計基準をすべて満たす統合戦術ネットワークの構築は、骨の折れる作業だ。統合戦術無線システム(JTRS)や戦闘員情報ネットワーク戦術(WIN-T)など、適切なリンクを構築する過去の取り組みは技術的制約や機能不足により行き詰まった。

異なる特徴を持つ無線間の通信を可能にするSNC TRAXソフトウエア・アプリケーションのように、問題を軽減する突破口が登場することもある。陸軍のネットワーク刷新計画の大部分は、ハードウエアに代わる俊敏なソフトウエアを生み出すことにある。

米陸軍では、商用製品・サービスを利用してニーズを満たす傾向が強まっている。軍独自のソリューションよりも価格が手頃なことや、関連分野の技術革新の多くが防衛産業以外で起きていることなどが背景にある。

しかし、中国が脅威となる場合、商用技術の活用には限界がある。たいていの商用製品は中国にしっかり把握され、中国で製造されることさえある。そのため、商用技術に大きく依存していては、中国軍の先を行くことはできない。

結局、米陸軍の計画立案者が求めているのは、中国のような敵対国と戦うときに兵士がまず見て、まず行動できるネットワークなのだ。陸軍は「意思決定優位」や「オーバーマッチ」といった用語で望ましい最終状態を説明している。

他の大国に対する持続的な技術的優位性の獲得が実現できるかは定かではないが、柔軟で復元力のある安全な戦術ネットワークがなければ、それは不可能だろう。

forbes.com 原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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