売上は前年同期比で7.3%増加
そこでオレオのチームは、3つの有力な小売店チェーン(Albertsons、Safeway、Jewel-Osco)と連携して、バーコードをスマートフォンのアプリで読み込めばオレオ割引クーポンが手に入るシステムを開発した。対象は、1000を越える牛乳パッケージだ。先の事例ビデオを見ると、バーコードからオレオを掴み取るシーンや、パーコードの一部からオレオを食べているシーンが描かれているが、これはパーコードとオレオの類似性を描いていると言える。そして、「(このキャンペーンを経た後では)我々はもうバーコードのことを、以前のようにオレオと関係なく見ることはできない」というメディアによる文言も紹介している。
結果として、同キャンペーンに関して、SNS上でのリアクションは+230%で、83%もの履行率を示し、また売上も前年同期比で+7.3%を記録したという。
OREO: Oreocodes (Cannes 2023)(Direct Silver Lion)より
このアイデアは、くだらない発想で始まっている。会議で誰かが「バーコードってさ、オレオを積み上げたものに見えないか?」と発言しても、一笑に付される場合も少なくないだろう。だがこのチームは、そうしなかった。それどころかその発想を基に精緻に実行を積み上げ、大きな成果を挙げるキャンペーンをつくり上げた。
普段からそうした「一見くだらないアイデア」をないがしろにしない雰囲気があったからこそ、このキャンペーンの提案者は、自分のアイデアを会議で発言する気になれたのかもしれない。
自分の経験からしても、成果に繋がるマーケティング・コミュニケーションのアイディアは、けっして“しかめっ面”からはでてこない。時にくだらないことも考えてみる“やわらか頭”と、その一見くだらない発想をないがしろにしない姿勢が大切だと、改めて思わせられた事例だ。