メカニズムを理解し、実装せよ!日本の地方はブロックチェーンで強くなる

Digital Platformer 取締役COOの佐藤浩之

「ブロックチェーン技術やWeb3.0は、日本人と相性がいい」。デジタルの最前線をわたり歩いてきた実践者が語る、世界と比した日本の優位性。


石川県が地盤の地方銀行グループ、北國フィナンシャルホールディングス(北國FHD)。同社は2023年4月、傘下の北國銀行が石川県珠洲市でブロックチェーン技術を活用したデジタル地域通貨の流通を2023年度中に開始すると発表した。珠洲市のデジタル化、そしてキャッシュレス決済比率の引き上げによって、生産性向上を目指すという。このプロジェクトで技術を提供するのが、Digital Platformerだ。同社COOの佐藤浩之は、ブロックチェーン技術で実現するWeb3.0の世界に、日本の勝ち筋を見いだしている。

石川県珠洲市でのデジタル地域通貨のプロジェクトは、北國FHDから声をかけてもらいました。Digi tal Platformerは、ブロックチェーンを活用した共通IDの管理、そして域内で流通するステーブルコイン(法定通貨などに連動する暗号通貨)の発行について、技術提供しています。北國FHDは、地方銀行のなかでもデジタルへの取り組みが先行していることで有名です。

経営トップも、デジタルへの理解が深い。そして、銀行が社会的に果たすべき役割を再定義したい、そのためにはまずやってみるという意欲をもっている。それが、我々が今回のプロジェクトで組んでいる理由です。ユースケースがひとつ生まれると、さらにほかの地銀への広がりも見せていくのではないでしょうか。

ブロックチェーンやWeb3.0の仕組みは、自分たちのビジネスへメカニズムとして取り込んでいくという観点で理解を深めていくと、日本の未来の価値へつながるように技術を活用できると思っています。自分が組織、社会へどう参画するか、どういうインセンティブが付与されることでモチベーションが高まるのか、幸福感が高まるのかということを、ブロックチェーン技術によって設計していけるのです。

分散的な意思決定のメカニズムは日本人だからこそ使いこなせる

ポルカドットの例を挙げましょう。ポルカドットはビットコイン、イーサリアムといった異なるブロックチェーンへ相互運用性を生むプラットフォームですが、その参加者の役割に特徴があります。ポルカドットではコンセンサスアルゴリズム(ブロックを承認するルール)に「ノミネーテッド・プルーフ・オブ・ステーク(Nominated Proof of Stake、NPoS)」が採用されています。通常のプルーフ・オブ・ステーク(Proof of Stake 、PoS)では、ブロックの承認処理は参加者のステーク(暗号通貨の預け入れ)している額などで、その役割を誰が担うかが決まります。

ポルカドットのNPoSでは、バリデーターと呼ばれる承認処理を担う参加者を、ノミネーターという参加者が選出します。ノミネーターが対象者へステークしたポルカドットの暗号通貨「DOT」の額に応じて、そのなかからバリデーターが選ばれます。そしてノミネーターは、バリデーターへのステークの額に応じて報酬を受け取ります。これにより、従来のPoSよりも参加者が不正を行いづらく、かつ権限を分散させることができるのです。
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文=加藤智朗 写真=小田駿一

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