アート

2023.08.26 11:30

バーチャルヒューマンで人間の可能性を拡張する

日本、アメリカ、カナダで生活してきたジューストーは、国や地域ごとに信仰や正義が変わること、そして幼少期に家庭での暴力を目の当たりにしたことから「殴るのも愛するのも同じ人間。真実ってなんだろう」と考える子供だった。そして国境や個人差を超えた「本当の感情に向き合いたい」という思いから、ありのままの感情を表現するアートに引かれていった。高校卒業後は武蔵野美術大学に入学、油絵を専攻した。

ジューストーがバーチャルヒューマンに出会ったのは、アートイベントで英語通訳をしていた時だった。immaの海外進出に力をいれようとしていたAwwのディレクターから声をかけられた。当時から多くの人を魅了し、SNSで活躍するimmaを見て「人間じゃないけど人の感情を動かすimmaに真実とは何かを考えさせられた」とバーチャルヒューマンの存在に心を強く揺さぶられ入社を決めた。
思わず「本当にCG?」と思いたくなるほどリアルなバーチャルヒューマン

思わず「本当にCG?」と思いたくなるほどリアルなバーチャルヒューマン


ジューストーは自身のバックグラウンドを生かし、海外向けのPRや企画提案など海外事業のすべてを担う。近年では、世界37カ国で発行されるファッション誌「Harper’s BAZAAR」台湾版の表紙を担当したほか、マサチューセッツ工科大学(MIT)が主催したイベントにはパネリストとしてジューストー自身が登壇し、バーチャルヒューマンの魅力を伝えた。

国籍、年齢、性別など差別と格差の根源を「無」にするバーチャルヒューマンの登場は、人々の既成概念を揺さぶる。この風穴を開けることこそ、ジューストーがやりたかったことだ。

23年6月、同社から3DVtuber美姫仁奈(びきにな)にきびがデビュー。これまで技術面でできなかったリアルタイム配信を可能にした。「バーチャルヒューマン自体の可能性を広げ、歌手やスポーツ選手などいろいろな業界のスターを生み出してみたい。

私たちが先駆けてデジタル世界での活躍の仕方を提示することで、誰もが国境や性別などを超えて楽しめる未来につなげていく」


じゅーすとー・さら◎Aww Inc.プロデューサー。1995年生まれ。日本で生まれ、アメリカ、カナダで育ち、高校卒業後は武蔵野美術大学で油絵を専攻。米国最大のストリートファッションの祭典 ComplexConでimmaを紹介するなど、海外事業にて企画 ·PRを担うほか、国内外のカンファレンスで講演を行う。

文=川上みなみ 写真=帆足宗洋(AVGVST) ヘアメイク=KUNIO Kataoka(AVGVST)

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