ヘルスケア

2023.08.20 10:00

「ハチの花粉を食べてバストアップ」TikTokで話題沸騰、信ぴょう性は?

花粉自体にはさまざまなビタミン、ミネラル、炭水化物、脂質、微量元素、酵素、アミノ酸、抗酸化物質が含まれている。ミツバチは花粉を集める際、自分の唾液や消化酵素を加えている。このことを考えると、ビーポーレン製品には有益な栄養が含まれている可能性はある。(その製品に本当にビーポーレンが含まれていればの話だが)
ミツバチが集めた花粉「ビーポーレン」(shutterstock.com)ミツバチが集めた花粉「ビーポーレン」(shutterstock.com)

虫の唾液や植物の精子を食べることは、食欲をそそるものではないかもしれないが、ビーポーレンを摂取しても健康面で大きな危険性はないとみられる。ただし、ビーポーレンのようなサプリメントは、医薬品と違って厳しく規制されていないため、特定の製品が本当にビーポーレンを含むものかどうかは疑うべきだ。

また、ビーポーレンにアレルギーがある人や、ビーポーレンと相互作用を起こす可能性のあるワルファリンなどの薬を服用している人、妊娠中・授乳中の人は、摂取を避けよう。妊娠中にビーポーレンを摂取すると、子宮の収縮を誘発し、流産につながる恐れがある。また、母乳を通して乳児が摂取しても安全かどうかを判断できるだけの十分な研究はまだなされていない。

ただし、健康増進の万能薬だと期待するべきではない。ビーポーレンには湿疹やアルコール依存症、前立腺肥大、胃腸障害の改善や、精力増強、運動能力向上といったさまざまな効果があるとうたわれているが、これらの主張を裏づける科学的根拠は今のところ少ない。ビーポーレンが胸を大きくするという科学的文献も、ほとんどない。ビーポーレンについては、まだ十分な研究がなされていないのだ。

ビーポーレンがバストアップに役立つ可能性はあるのだろうか? 実は、女性の胸の大きさは固定されたものでなく、月経周期の中でエストロゲンなどのホルモン量や体形が変化することで日々変動する。エストロゲンの量がピークに達する排卵期のすぐ後にくる黄体期には、胸が最も大きくなる傾向がある。胸の中の乳腺小葉(しょうよう)はこのホルモン変化により膨張し、生理が終わると以前の大きさに戻る。

ビーポーレンには植物性エストロゲンが含まれていて、それが同様の働きをしているのかもしれない。しかし、実際に科学的な研究が行われない限り、これは推測の域を出ない。

そうだとしても、ホルモンやホルモン様物質によるバストサイズの変化は永久的なものではない。体内にある量が減ると、バストも縮まる。

繰り返しになるが、ビーポーレンで胸が大きくなることを示す証拠はない。ビーポーレンにそのような効果を期待しても、いつまでたっても報われないかもしれない。

forbes.com 原文

翻訳・編集=遠藤宗生

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事