スタートアップ

2023.08.15 14:30

SWIFTの牙城崩せるか シンガポールの決済スタートアップ「Thunes」

Thunesのピーター・デカルウェCEO(同社提供)

今後1年で取扱い額200億ドルを目指す

現状、Thunesの取扱額は、スイフトに比べるとごくわずかだ。Thunesは、2016年の設立から今年6月までに合計500億ドルの取引を処理した(同社は、2019年にシンガポールの決済会社TransferToからスピンオフした)。これに対し、スイフトを介して行われる送金は1日当たり数兆ドル規模と、比較にならないほど多い。顧客数でもスイフトがThunesを圧倒している。現在、約700社がThunesの国際的な決済・回収サービスを利用しているが、スイフトを利用する金融機関は1万1500社に達している。
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アーンスト・アンド・ヤングが昨年発表したレポートによると、2027年にはクロスボーダー決済額が200兆ドルに達し、銀行間のB2B取引がその大半を占めることになる。同レポートは、英国に本拠を置くJuniper Researchのデータを引用し、世界のデジタルウォレット支出が2025年までに10兆ドルを超えると予測している。

デカルウェは、今後1年間でThunesの取扱い額が200億~250億ドルに達し、年間取引は今後10年間で毎年50~75%成長すると予想。ただ、アフリカやアジア、欧州、北米に開設した10カ所の事務所で従業員を拡大しているため、黒字化はまだ達成していないという。

「クロスボーダー決済は巨大市場であり、われわれはそのほんの一部しか獲得できていない。引き続き安定したプロセスやテクノロジー、スケーラビリティを構築し、われわれが得意とすることをやり続けて新規顧客を取り込んでいかなければならない」とデカルウェは語った。
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forbes.com 原文

編集=上田裕資

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