日本語のネイティブの努力も貢献
「機械翻訳は直訳的すぎることがあり、それは大きな問題です。困ったときには、Google翻訳よりもDeepLの方がずっと頼りになると感じています」と彼女は述べた。その背景には、DeepLの訓練に使われる大量の映画字幕や書籍、特許の翻訳、フォーラムの会話に人間の校正が加えられていることが挙げられる。DeepLで働く日本語のネイティブスピーカーのタグチ・アキコは、DeepLの翻訳が文脈的に正しく、人間らしく聞こえるようにするために業務のほとんどの時間を費やしているという。「翻訳に日本語の文章で使われる形式的な表現が混ざっていたときに、フィードバックを与えると、かなり改善されたものになりました」と彼女はフォーブスに語った。
検索エンジンの翻訳ツールのLingueeからスピンアウトしたDeepLは、PDFやWord、PowerPointなどのドキュメントを、フォーマットを維持したままで翻訳することが可能で、語調の修正を提案し、ユーザーが特定の単語をどのように翻訳すべきかを指定するカスタム辞書を構築することもできる。
コンピュータサイエンスの博士号を持つクテロフスキーは、2016年にDeepLの基礎となる機械学習テクノロジーを開発したが、それはChatGPTのベースとなった大規模言語モデル(LLM)のTransformerにグーグルの研究者たちが取り組んでいたのと同時期のことだった。しかし現在のところ、DeepLの翻訳にはLLMを使用していないと彼は述べ、自社の翻訳ツールのアーキテクチャが特定されることを拒否している。