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欧州

2023.08.05 09:00

ウクライナ軍が旧式車両を多数損失 南部戦線で「賭け」に出る

旧ソ連製の歩兵戦闘車BMP-1(AnBoris / Shutterstock.com)

ウクライナ南部ザポリージャ州の前線のすぐ南に位置し、ロシアが占領しているロボティネの町は、約20km南のトクマクと道路でつながっている。

トクマクからは、約64km南のメリトポリへと道路がのびている。メリトポリは黒海沿岸のすぐそばにあり、ロシア占領下にあるクリミアへの陸路の主要供給線も通っている。

これらの事実は、ウクライナ軍がトクマクに向けた攻勢に注力していることを説明できる。米紙ニューヨーク・タイムズによると、ウクライナ当局者は米国側に、南部で進める反転攻勢の主要目標としてトクマクへの進軍を目指していると説明した。

6月4日に始まった反攻ではこれまでに、ウクライナ軍がいくつかの前線で数km前進。最も大きな成果は、激戦により荒廃した東部ドンバス地方バフムートの周辺で得られた。

だがロボティネでは、ロシア軍の3つの自動車化狙撃連隊、2つの特殊部隊旅団、いくつかの予備大隊が有利な場所を押さえている。そのためウクライナ軍の3つの機械化旅団(第47、65118旅団)は、わずかな前進のためにも損失を被る状態となっている。

7月下旬、ロボティネ近郊で行われた攻勢は多くの損失を生み、この方面での戦闘が非常に厳しいことを浮き彫りにした。第118旅団は、ロボティネの北東数kmにある交差点を突破しようとした際、BMP歩兵戦闘車を少なくとも4両、戦車を2両、その他の車両を少なくとも1両失った。

第118旅団に何が起こったのか、正確なところははっきりしない。だが、同じ前線でのこれまでの戦闘、特に第47旅団が6月初旬にロボティネ北方で実施し大きな損失を生んだ複数の攻撃から察するに、ロシア軍の地雷と砲撃により前進を阻まれ、生き残った乗員たちは車両を捨てて、死傷者と共に撤退することを強いられたのだろう。

この日、ウクライナ軍が戦闘に投入した車両は、反攻が3カ月目に突入する中、ウクライナ軍の指揮官が直面している大きなジレンマを浮き彫りにしている。

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翻訳=溝口慈子・編集=遠藤宗生

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