こうした課題を解決してサステナブルな物流革命を進めようとしているのが、「美しい物流をつくる」をミッションに掲げるcomvey(コンベイ)だ。
このほどECアパレルブランド向けに国産リユース梱包材「シェアバッグ」をリリースした代表取締役の梶田伸吾さんに、リユース梱包材を起点に作り上げようとしている「美しい物流」とはどのような世界観なのか聞いてみた。
売り手よし、買い手よし、運び手よし 「三方良し」の物流とは?
シェアバッグは、国産ポリエチレン製で繰り返し使える梱包材だ。2023年5月のサービスローンチ時点で、サステナビリティ志向のファッションブランド「O0u(オー・ゼロ・ユー)」と、サーフィン動画メディア発のアパレル・サーフギアブランド「NobodySurf Shop」の2つのECサイトで採用されている。シェアバッグを導入したECカートでは、購入者は梱包材を通常の段ボールなどにするか、プラス250円でシェアバッグにするか選択できる。配達されたシェアバッグは郵便ポストに投函するだけで返却でき、返却が確認されると消費者は購入ショップで使える500円の割引クーポンを獲得できる。返却されたバッグはコンベイを通じてクリーニング・修繕された後、再びEC事業者へ提供される。
SDGsや気候危機などがクローズアップされるようになった中にあっては、物流梱包材の変革は必然の流れかもしれない。とはいえなぜ、リユース梱包材に着目してサービスを立ち上げたのか。それは、梶田さんが起業前に携わっていたBtoB物流での経験から得た着想がきっかけだった。
梶田さんは、大学生の頃から国際協力に関わり、当時から社会起業家志向があったそうだ。商売の基本を勉強して起業することを目指して、伊藤忠商事に入社。配属面談をしてもらった憧れの先輩が所属していた物流部門に配属された。
物流子会社に所属していた時には港で作業員とともに荷物をチェックしたり、輸送船をチャーターして風力発電のタワーを運搬したりするなど、幅広い物流業務の現場を経験することができたという。
「BtoB向けの物流では、何度も使えるリターナブルボックスは当たり前に使われています。でも、BtoCでは梱包ごみが捨てられている。どうしてだろう?と思いました。海外の物流トレンドを調べていると、フィンランドのRePackなど欧米ではリユースバッグが普及し始めていました」
だから日本でも——というのは、少し短絡的なようだ。梶田さんは、こう続ける。
「もう少し抽象的な話をすると、物流は基本的に売り手と買い手と運び手という三者で成り立っていますが、現状ではこの三者間の協力が不十分な状況です。
その結果、サステナブルな物流が実現できない未来が近づきつつあります。最近は物流×ITで効率化しましょうとよく言われますが、それだけではなく三者を巻き込んで協力し合える仕組みを作る必要があると思っています」
シェアバッグの最終仕様が固まり、完成品を持って製造元を訪れた梶田さん