シェアバッグは「21世紀の風呂敷」? コンベイが目指す物流改革とは

売り手と買い手と運び手が協力し合える仕組みづくりを目指して始まったシェアバッグ。サービスローンチから約2カ月経ち、各ブランドのECサイトを使った購入者の30%がシェアバッグを選ぶようになった。顧客に受け入れられるようになってきた要因を、梶田さんはこう捉える。

「現状はいったん250円負担していただいて、シェアバッグを返却する時に500円オフのクーポンがもらえる仕組みなので、実質的にお得です。あとは、ハサミやカッターが不要で、梱包ゴミを捨てるストレスがないこと。そして、簡単にSDGsに貢献できることですね」

「シェアバッグは付属の二次元コードを読み取って登録して、バッグを折りたたんで郵便ポストに返却しなければなりません。ちょっとひと手間かかるのですが、実際に使ってくれた人に聞いてみたところ『環境にいいことをしていると感じられて気持ちが良かった』と言ってもらえました。

環境のために何かしたいと考えていた方々が、気軽に選択するだけでエコアクションとして貢献できるので選んでくれています」
商品を入れる閉じ口は面ファスナーになっていて、開くとクーポンを取得できる二次元コードや、郵便ポストに返却するまでの手順が記されている(以下すべてcomvey提供)

comveyのシェアバッグを採用したオンラインストア

郵便局にアポなし訪問、国産であることにもこだわり

起業して1年余。サービスローンチまでには、梶田さんをはじめとするコンベイのチームメンバーや関係者による数多くの試行錯誤があった。

「普通に郵便局の窓口に行って、シェアバッグのプロトタイプを見せながら『こういうことをやりたいんです』と伝えたところ、日本橋郵便局を紹介してもらいました。日本橋郵便局は全国の郵便局のハブ的な拠点で、担当者の方とは20回ぐらい打ち合わせしました」

シェアバッグは返送時に料金後納郵便として取り扱われるため、郵便規格に沿った構造が求められる。耐久性、耐水性、軽さ、リサイクル可能、国産であること——。コンベイのプロダクトデザイナーが、こうした規格に合うように作り上げていく。

「シェアバッグのLサイズの底部分は、畳むと隙間が結構大きくなってしまうので、他の郵便物が入り込まないように面ファスナーをつけてほしいなど、郵便局の方からは色々とアドバイスをもらい、最終的にOKをいただくことができました」

シェアバッグの素材は、リサイクル可能なポリエチレンだ。その多くがアジア地域など海外産となっている中で、梶田さんは国産・国内製造しているメーカーを探し続け、建設用ブルーシートなどを製造する萩原工業(岡山県倉敷市)と出会った。

同社が生産した生地でシェアバッグを作ってもらい、使い終えたバッグは同社に戻してペレットに加工。再生ペレットの一部をシェアバッグに混ぜて再製造する仕組みを構築している。

「国産であるということはトレーサビリティの観点から大事にしたかったですし、やはり倫理的な調達をしたかったのです。萩原工業の窓口の方には、だいぶ助けられました。熱心に話を聞いてくれて、将来性があるとも言っていただき、生地まで提案してくれました」

コンベイはシェアバッグを50〜100回使うことを目標としており、現在検証中だ。シェアバッグが何回リユースされたかについては、アプリで確認できるようになっている。
商品の大きさに応じて、3つのサイズが用意されている
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文=木村 麻紀

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