シェアバッグは「21世紀の風呂敷」? コンベイが目指す物流改革とは

コンベイ代表取締役の梶田伸吾氏

売り手から買い手へ、運び手を通じて思いを伝える「美しい物流」を

アパレルEC事業者との連携でシェアバッグを始めたのは、近年クローズアップされてきたアパレルの環境負荷を少しでも減らすことに貢献できればという思いがあったからだという梶田さん。今後は、シェアバッグの耐衝撃性をさらに高めるよう改良しながら、アパレルだけでなく雑貨やコスメにも対応できるようにしたいという。
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「日本のEC市場は、アパレルと雑貨とコスメだけで約40%を占めます。これをリユース梱包材にリプレイスするだけでも、大きなインパクトがあると思います」

コンベイは今後、EC社会に適した新しい物流の仕組みを作り上げるために3つのことに取り組みたいと考えている。

「まずは、今やっている梱包ごみの削減です。次に、返品物の再販です。日本のECサイトの返品率は10〜15%、北米では30〜40%にのぼります。一番困るのは売り手であるEC事業者で、今後さらに顕著になってくることが予想されます。
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シェアバッグを使って、例えばEC事業者の返品作業を代行して、そこで回収した商品を再販することも狙っていきたいです。

もう一つは、配達員不足への対応です。自宅に一軒一軒配達するのではなく、購入者が直接来て持って帰ってもらえるような第3の場所を配送会社と連携して作ったりできないか考えています」

さらにその先に目指すのが、コンベイが企業ミッションに掲げる「美しい物流をつくる」ことだ。

「『美しい』というのは、ビューティフルというよりも、人と人との思いが通じ合っている状態のことです。街の中で人が誰かに親切にしている様子って、見ると美しいなあと思うんですよね。

僕自身はやはり、どれだけ機械化が進んでもそういう人間らしい思いが通じ合う社会を作りたい。物流にはそれができると思っています」

会社名のモチーフとしたconvey(コンベイ)という言葉には、「ものを運ぶ」という意味だけでなく、「想いを伝える」という意味がある。

今はサービスを受け渡す関係性でしかないかもしれない売り手、買い手、運び手の三者が通じ合い、協力し合うサステナブルな物流を作り上げるのが、同社の究極のミッションだ。

「今はダンボールしか選択肢がありませんが、5年後、10年後には段ボールが必要なもの以外はリユース梱包材に置き換わっていくことを目指したいですね。

リユース梱包材が当たり前になる文化を作っていくには時間がかかるかもしれませんが、サステナブルだからこのサービスを使ってよという押しつけは、全く意味がないと思っています。

このバッグはカッコいい、こういうアクションに参加してみたい、とお客様の心を動かしていって、結果的にサステナブルになることを目指したいですね」

編集後記

シェアバッグの実物を見せていただきながら梶田さんとお話し、ふと浮かんだことがあった。

「これは21世紀の風呂敷みたい」

風呂敷を使う機会はめっきり減ってしまったが、大切な方にお礼の品を直接手渡す時などは、今でもやはり風呂敷を使う。

シェアバッグも、単なる包装材という“機能”として提供されているのではなく、売り手、買い手、運び手の気持ちのよい思いが巡る“触媒”になろうとしているように感じられたからだ。

コンベイは今後、EC全盛時代の社会に適した物流の新しい循環的なあり方をどのように提示していくのだろうか。楽しみでならない。

【参考】
comvey公式サイト


※この記事は、2023年7月にリリースされたCircular Economy Hubからの転載です。

文=木村 麻紀

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