ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)を使用した観測によって、PDS 70と呼ばれる恒星の惑星形成円盤内で水が検出された。そこは、この太陽系で地球型惑星が公転しているのとまったく同じ領域となる。
水は、約330℃の高温水蒸気の状態で発見された。
これが重要な発見なのは、地球型惑星全般(地球を含む)が、表面に水を保持して進化できる可能性を示唆しているためだ。
彼方から来た氷状の小惑星や彗星が、地球(あるいはあらゆる恒星系の地球型惑星)と衝突したときに水はやってきたという一般通念から大きくかけ離れている。
PDS 70は、同じ軌道を共有する2つの木星サイズの惑星を持っていると考えられており、観測された初めての例だ。しかし、それらの惑星は水が発見された領域から大きく離れたところを周回している。
その結果、ケンタウルス座にあるPDS 70は、地球型惑星がどのように形成、進化するかに関する天文学者たちの考え方を変える可能性のある極めて特別な恒星系になった。
水の誕生
「私たちは今、水が地球型惑星の初期成分の1つであり、誕生時から存在していた証拠を見つけたのかもしれません」と7月24日に科学誌ネイチャーに掲載された論文の主著者で、ドイツ、ハイデルベルク、マックス・プランク天文学研究所(MPIA)の天文学者ジュリア・ペロティはいう。研究チームはPDS 70の内部円盤の中で水を発見し「そこで形成される地球型惑星候補には、利用可能な貯水池があったことを意味しています」と論文では書かれている。著者らは、水はこの領域で形成されたものであり、恒星系の彼方から運ばれたものではないと考えている。
きわめて刺激的
「この発見はきわめて刺激的です。地球に似た惑星が形成される典型的な領域を探査しているからです」とMPIAのディレクターで、JWSTの中赤外線観測装置(MIRI)を使用しているMINDS(MIRI中赤外線円盤調査)プロジェクト副主任研究員トーマス・ヘニングはいう。これまで恒星周辺で自然形成された水は高温の中で生き延びることができず、その結果、地球型惑星は当然乾燥していると考えられてきた。 もしそれが基本法則から除外されるなら、水のある地球型惑星はこの天の川銀河にも存在するかもしれない。
若い星のまわりで進化する円盤の地球型惑星形成領域に水はありふれているのか、それともPDS 70が例外なのかを、MINDSプロジェクトが示してくれることを研究チームは願っている。
(forbes.com 原文)