MSのアクティビジョン買収、プレステと任天堂ユーザーへの影響は?

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米マイクロソフトは、米連邦取引委員会(FTC)が起こした訴訟に勝訴したことで、ゲーム大手アクティビジョン・ブリザード買収を完了させるめどがたった。これを受け、アクティビジョンがさまざまなゲーム機向けに展開しているタイトルの今後について、いくつかの疑問が生じている。

Xboxゲーマーへの影響としては、ベセスダ買収時と同じように、マイクロソフトが月額935円で提供するサブスクリプションサービス「Xbox Game Pass」にアクティビジョン作品が多数追加されることになるとみられる。

PCゲーマーもまた、96%以上がマイクロソフトのWindowsを使用しており、同社のサブスクサービス「PC Game Pass」を利用すればアクティビジョン作品の多くを追加料金なしで遊べるようになる可能性が高い。

アクティビジョンは、独自のPCゲーマー向けマーケットプレイス「Battle.net」を運営しているが、これが買収後も継続されるのか、あるいはXboxアプリに統合されるのかは分からない。

ソニーのPlayStation(プレイステーション)ユーザー向けの措置として、マイクロソフトは、アクティビジョンの主力タイトルである「コール オブ デューティ」シリーズを今後10年間にわたりプレイステーション向けに提供し続けると約束。その際には、発売日やゲームの内容でXbox版と差をつけることはないと確約している。

アクティビジョンが将来発売する他の新作タイトルがどうなるかは不透明だが、ベセスダの例を踏まえると、マイクロソフトが新作ゲームの多くをXbox専用とする可能性は高い。

一方、任天堂のゲーマーにとっては、この買収は「たなぼた」となるかもしれない。マイクロソフトは、「コール オブ デューティ」シリーズを今後、Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)とその後継機向けに発売する契約を結んだ。

マイクロソフトが「コール オブ デューティ」のプレイステーション向け販売継続を望む大きな理由のひとつは、同作をXbox専用にすることで収益を失う可能性だ。アクティビジョンの最新の年次報告書によると、2022年の同社の純収入に占める割合はソニーが13%だった一方、マイクロソフトは10%未満だった。
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翻訳=上西雄太・編集=遠藤宗生

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