バルセロナが東京に滞在したのは、わずか24時間あまりだった。
チャーター便で来日したのが6月5日深夜。当初予定されていた公開練習も来日レセプションもすべてキャンセル。時差ぼけを抱えたまま6日夜に国立競技場で行われたヴィッセル神戸戦で2-0と快勝。そのまま羽田空港からスペインへの帰路に就いた。
さらに驚かされるのが、バルセロナが4日夜にスペインリーグのシーズン最終戦を戦っていた点だ。キックオフ時間は日本時間5日午前4時。終了後に最寄りの空港に待機させていたチャーター便に慌ただしく乗り込み、約14時間をかけて日本へ向かっていた。
つまり実質的に中ゼロ日で、さらに長距離フライトをはさんで神戸戦に臨んだわけだ。
神戸戦はイベント的な要素の強い親善試合で、さすがにリーグ戦ほどプレーの強度も高くなかった。それでも5人の主力選手がリーグ戦に続いて先発している。5人のなかでもスペイン代表に名を連ねる、22歳のDFエリック・ガルシアはフル出場した。
選手たちのコンディションを最優先に考えれば、今回のような連戦を組むのはまずありえない。なぜバルセロナは、異例の強行スケジュールで来日したのか。
プレーとは関係ない、がっかりな理由
そもそも、6月第2週の来日をJリーグ側へ打診したのはバルセロナだった。背景には昨シーズンの成功体験がある。バルセロナは昨年5月末にもオーストラリア遠征を実施。8万人以上を収容できるシドニーのスタジアム・オーストラリアで同国リーグ選抜と親善試合を行い、約500万ユーロ(約7億7700万円)の臨時収入を得た。
今年の神戸戦との共通点は、ともにスペインのシーズンが終わった直後だった点だ。
ヨーロッパのクラブのほとんどは、6月末に「決算」を迎える。そのなかで慢性的な財政難に陥り、経営健全化の早期実現へ向けて、リーグ機構側から警告も受けているバルセロナは昨年に続いて今年も、決算までに少しでも収入を増やす必要性に迫られていた。