無理強いした成果はあったのか
さまざまな思いが交錯したなかで、他の天皇杯2回戦と重複しない6日の開催となった親善試合で、果たしてバルセロナが望んだ成果は得られたのだろうか。地元紙の「ムンド・ディポルティーボ」は「バルセロナはヴィッセル神戸との親善試合で大金を手にした」という見出しとともに、東京での一戦を次のように伝えた。
「バルセロナの選手たちはオフに入る前に、あるいはそれぞれの代表チームに合流する前に、クラブの財政状況を改善するために日本の地で情熱を燃やした。アンドレス・イニエスタを擁するヴィッセル神戸とのエモーショナルな親善試合による収入は300万ユーロに達し、財政健全化の実現へ向けて活動を続けるクラブを後押しした」
同紙が伝えた300万ユーロ(約4億6600万円)は、確かに大金かもしれない。しかし、昨年5月にオーストラリアで得た500万ユーロからは大きく目減りしている。
ペア25組を限定としたメインスタンド中央VIP席が500万円で販売されるなど、全部で13種類が用意された観戦チケットは予想通り全体的に高額な設定となった。しかし、当日の公式入場者数は4万7335人。満員にはほど遠い数字だった。
前売りでの最安値は8000円から1万円だった、両方のゴール裏自由席はさすがに満員で埋まった。しかし、2万5000円から4万円だったバックスタンド指定席には対照的な光景が広がった。特に2階や3階はブロック単位でガラガラになっていた。
平日のナイトゲーム開催に雨が加わった影響もあっただろう。それでも、交通の便に恵まれた国立競技場に空席が目立ったのは、もはや名前だけでファンを呼べなくなった日本の現状も関係している。その意味では、チケットの価格設定も誤ったのかもしれない。
しかも、バルセロナが離日した後も、決して穏やかではないニュースが現地スペインから飛び込んできた。日本への遠征に参戦し、神戸戦にも出場した選手たちのうち3人に対して戦力外が通告されたと、同国スポーツ紙の「アス」が報じたからだ。
さらに別のスポーツ紙「スポルト」は、前述したガルシアも放出リストに加わったと報じた。弾丸ツアーの次の手段として、年俸総額を可能な限り圧縮させてようやく来シーズンへ向けた補強に動ける。昨シーズンのスペインリーグを4年ぶりに制した名門バルセロナはオフに入っても、依然として慢性的な財政難と闘っている。