「デジタル遺品」問題で家族を困らせないように

プレスリリースより

老いも若きもインターネットを駆使する現代、亡くなった家族がスマホやパソコン、クラウドなどに残したデータの処分をどうするか、いわゆる「デジタル遺品」問題が起き始めています。デジタル遺品には、思い出のデータもあれば処分に困るデータもありますが、なかでも厄介なのは、本人の死亡後の手続きに必要なアカウントや書類のIDとパスワードです。それがわからず大変な目に遭ったという話はよく聞きます。遺品整理などを手がける林商会が、そんな「デジタル遺品」に関する意識調査を行いました。

調査対象は20代から60代の男女200人。デジタル遺品という言葉を知っている人は28パーセントでした。聞いたことはあるがよく知らないという人と、聞いたことがないという人は合わせて72パーセントです。まだデジタル遺品問題を経験していない人が多いのかも知れません。調査に寄せられた意見には、故人のスマホのロック解除ができないために友人の連絡先がわからず葬儀に呼べなかったとか、登録サイトのパスワードがわからず解除に苦労したとか、ネット銀行の口座がわからず相続手続きができなかったなどなど、デジタル遺品問題経験者には、すでにアルアルとなっている話が見られます。

デジタル遺品問題の代表格に、IDやパスワードがあります。デジタル遺品を意識するしないに関わらず、それらを整理している人としていない人の割合は、ほぼ半々でした。IDとパスワードを一箇所に記録して整理している人がいれば、それらを一括管理するのは危険なので整理しないという人もいて、セキュリティー感覚はさまざまです。いずれにせよ、自分の死後、遺族を困らせたくないならば、家族で共有できるパスワード管理ツールを活用するのが安全で便利でしょう。

もうひとつのデジタル遺産問題は、テキストや写真などのプライベートなデータです。写真などは、遺族にとって処分に困るデータですね。自分の死後、プライベートなデータは一切残したくないという人は45パーセント、一部だけ削除したい人は46パーセントいました。「LINEやメールのやり取りなどは、知られたくない内容もあるので」、「ネット閲覧履歴も個人的な趣向が知れるので」といった理由を聞くと、なるほどとうなづけます。

一方で、「友人の古い携帯から出た懐かしい写メ。当時の職場の1ショットではあったものの、当時の思い出話から始まり色んな人たちの顔やエピソードが広がった」という話もありました。消さなくてよかったですね。「病気で亡くなった父のスマホに、家族一人一人に向けて、それぞれ動画でメッセージが残されていたのを、父がなくなってから知り、動画を見て号泣した」なんて意見もありました。デバイスのロックが解除できなければ、故人が意図的に残したメッセージも見られないわけで、やっぱりパスワード管理は重要です。

デジタル遺品問題を心配される方は、さまざまな企業が提供している「デジタル終活」の支援サービスを利用するというのも手です。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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