本書を購入している層はなんと、3分の2が男性というデータ(全国紀伊國屋店舗の販売データを出版社に開示するサービス「紀伊國屋パブライン」のある期間の調査による)がある。
男性たちをとりこにする「一流レシピ」本の中身とはいったいどんなものなのか。以下、同書から、究極の「ビストロの定番料理」ゆで卵の極意について書かれた箇所を紹介しよう。
使う卵は「L玉」
僕が使う卵はL玉です。大きさによってゆで時間も少し異なります。例えば固ゆでならL玉で10分、M玉だと9分ほど。ただし、ゆですぎると黄身のまわりがグレーになるので注意。2〜3分のゆですぎでも変色します。10分で湯から上げても冷やさないとやはり変色します。半熟卵に関しては30秒でも違うので、沸騰したらすぐタイマー。いずれにしても回数を重ねて感覚をつかんでください。
1──少し大きめで深めの鍋に卵とかぶるくらいの水を入れ、強火にかける。熱めの湯になってきたら、ときどき菜箸でかき混ぜてやさしく転がす。
2──沸騰したらタイマーのスイッチを入れ、火を弱める。
3──好みの堅さのゆで上がり時間になったら、水にとり、卵をしっかり冷やす。
4──やさしく叩いてヒビを入れ、薄い膜ごと殻をむく。
卵を割るときにひと工夫して、殻を生かしたプレゼンテーションにしても。殻の上のほうを包丁の刃元でコツコツとやさしく叩きながら一周して、蓋のように外します。卵を取り出した後、殻をきれいに洗って乾かしておけば、スクランブルエッグの器になります。
谷昇(たに・のぼる)◎1952年生まれ。アンドレ・パッション氏率いる六本木「イル・ド・フランス」でフレンチの世界に入る。24歳で渡仏。帰国後レストランのシェフや調理師学校講師を経て、37歳で再びフランスへ。アルザスの3つ星レストラン「クロコディル」や2つ星レストラン「シリンガー」などで修業。帰国後は「オー・シザーブル」などでシェフを務めたあと、94年「ル・マンジュ・トゥー」のオーナーシェフに。