暗号資産

2023.06.27 13:00

暗号資産マイニング「ビットディア株」、1カ月で122%急騰

Getty Images

暗号資産業界の大物のジハン・ウーが設立した、シンガポールを拠点とするマイニング企業の「ビットディア・テクノロジーズ(Bitdeer Technologies Group)」は、伝統的な金融企業が再びデジタル資産に関心を寄せる中、自社株買いを発表したことで、過去1カ月で株価を122%急騰させた。

ビットディアは6月16日、ナスダックに上場している自社株の最大100万ドル相当を買い戻すと発表した。この動きは、ウォール街の大手がボラティリティの高いこの業界に再び賭けたことで、暗号資産市場が盛り上がったことを受けてのものだ。ビットディアの創業者で会長のウーは、2021年のフォーブスの取材に「たとえ現状のコインの95%が価値を失ったとしても、残りの5%は巨大な伸びを示すだろう」と語っていた。

ビットディアの自社株買いの発表の前日、世界最大の資産運用会社のブラックロックは、ビットコインのETFを米国証券取引委員会(SEC)に申請した。ブラックロックの申請に続いて、シタデル・セキュリティズやフィデリティ、チャールズ・シュワブなどが支援する機関投資家専用の取引所「EDXマーケッツ」が20日に正式に発足した。

このニュースにより、時価総額で最大の暗号資産であるビットコインは1年ぶりの高値となる3万1000ドルを超えたが、それでも2021年11月の史上最高値の6万9000ドルには遠く及ばない。23日のマーケットクローズ時点で、ビットディアの時価総額は約13億ドル(約1860億円)に達している。

ビットディアは、長らく延期されていた特別目的買収会社(SPAC)との合併がようやく完了し、4月にナスダックでの株式の取引を開始した。この取引によるBitdeerの評価額は11億8000万ドルで、2021年11月の暗号資産ブームの際の時価総額の40億ドルから大きく減少した。

Bitdeerは、コンピュータパワーで世界最大の暗号資産のマイナー(採掘業者)の1つとされる。同社は、ウーが2013年に共同創業した中国のマイニングチップ製造大手のビットメイン(Bitmain)からスピンオフした企業だ。

ビットディアは米国とノルウェーで5つのマイニングデータセンターを運営しており、ブータンにも建設中だ。先月、同社はブータン政府と提携し、マイニング事業のために最大5億ドルのファンドを立ち上げた

しかし、ビットコインや他の暗号資産は反発しているものの、エネルギーを大量に消費するマイニング業界は、電気料金の高騰による課題に直面し続けている。テキサス州を拠点とするビットコインの採掘業者のCore Scientificは、ブラックロックが支援するSPACとの合併によって上場してから1年も経たない12月に破産を申請した。

今年第1四半期のビットディアの売上高は前年同期比19.7%減の7260万ドルで、純損失は約950万ドルだった。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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