はじめに、今後の選挙への投票意向を尋ねると、72.3%が「投票意向あり」という結果に。投票に行く理由については、最多が「若者の投票率を上げたいから」(44%)となり、次いで「自分の声を政治に反映させたい・届けたいから」(38.4%)、「国民として与えられている権利を行使したいから」(33.8%)、「高齢者ばかりでなく、若者にも目を向けてほしいから」(31.5%)の順に。
投票に行く理由
投票先を決める基準については、「政策」(68.5%)が突出して多く、「人柄・印象」(33.8%)、「所属政党」(26.8%)、「活動実績」(26.5%)が続いた。一方で、「投票先をどうやって決めていいかわからない」という回答は、59.8%に上った。
投票先を決める基準
対象者からは「街頭演説が目について聞いてみることがあるが、内容を理解しきれないので、候補者の話し方や表情を見ている」「選挙公報で政策を見て投票に臨んだが、実績などをもっとわかりやすく書いてほしい」などといった声が。選挙に関する情報発信について、改善の余地を感じているZ世代が多い状況がうかがえた。
また、「自分が投票に行っても社会は変わらない気がする」と答えた人が63.6%、「誰が政治家になっても社会は変わらない気がする」の回答も49.8%と、多くのZ世代が政治や世の中について諦めモードであることも判明。
政治について興味があることを質問すると、1位が「税制度」(28.7%)となり、2位「年金問題」(26.3%)、3位「教育支援」(26.3%)、4位「子育て支援」(25.4%)、5位「女性の活躍」(21.3%)となった。前回(2022年)調査に比べ、新型コロナウィルスや医療関連の項目の順位が下がり、今回(2023年)はお金や教育に関する項目の順位が上昇。それらに関心が集まっていることが分かる。
「今後、政治の仕組みとしてあったらいいと思うこと」については、最多が「オンラインで投票できるようになる(インターネット投票)」で55.5%。「若手議員の増加」(35.4%)、「女性議員の増加」(28.7%)が上位に。日本の政治に今後どのようになって欲しいかという問いへの回答をテキストマイニングにまとめると、「若者」「取り入れる」「政策」などのキーワードが目立ち、Z世代が若い世代の意見を政治にもっと反映してほしい、という気持ちを抱いていることが見て取れた。
日本の政治が今後どのようになって欲しいか
さらに、「日本の政治を積極的に変えていきたいと思う」と回答した人は半数(54.5%)を超えたものの、「将来は政治家になりたいと思う」と答えた人は15.8%に留まった。
回答者からは「企業からの働きかけでも政治を変えられると思うので、企業人として声を挙げたい。自分が発起人になるかはわからないが、将来、所属する企業で社会問題に関する活動があれば参加する」という企業側から世の中を変えたいという声や、「政治家にはならない。結局、政治家になっても、世の中は変えられないと思う」など、政治家への低い期待値が表れた意見などが聞かれた。
SHIBUYA109 lab. 長田 麻衣所長は、Z世代の投票意向は高いものの、実際の行動に繋がっていない要因として、「政治家の属性が偏っているため、若者が政治家を身近に感じられないこと」と「若者が政治を自分ごとに感じられる情報が少ないこと」の2つがあると分析。その上で、「政治側からの能動的な情報共有の強化は必須です。政治家の公約や政策の共有だけでなく、普段の仕事の様子など、どのようなプロセスで政策実現のために動いているのかを共有していくことが、若者と政治の距離を縮めるきっかけにもなりえます」と説明した。
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