SDGs達成が遠のく 日本の順位は2ランク低下、5項目は「深刻な課題」

プレスリリースより

SDGsの達成が遠のいてしまいました。とくに低所得国の大半は進捗が停滞から減少の傾向にあり、パリ協定の目標達成も危ぶまれます。日本は166カ国中21位。2017年の11位から大幅にランクを下げました。「持続可能な開発ソリューションネットワーク」(SDSN)が6月21日に発表した年次報告書の冒頭のエグゼクティブサマリー(概要)は、「2030アジェンダまでの中間点で、すべてのSDGsが大きく道を外れている」という警鐘で始まっています。

SDSNは、学術機関、企業、市民団体などで構成され、持続可能な社会実現に向けて活動を行っている国際ネットワークです。各国のSDGsの達成状況を指数化して順位付けを行い、毎年、「持続可能な開発報告書(Sustainable Development Report)2023」という年次報告書を発表しています。それによると、2023年の世界平均指数は66.7なのに対して、日本は79.4と健闘していますが、2022年、2023年と連続してわずかに低下しています。

東アジアは停滞傾向にあり、韓国も前年の27位から31位に、中国は前年56位から63位へと落ちています。ただし韓国は指数が0.2点上げているので、「日本の努力不足を指摘することも可能」だと、SDGs市民社会ネットワーク共同代表の大橋正明氏は話しています。こうした傾向にコロナ禍やロシアのウクライナ侵攻などの紛争が影響しているようですが、気になるのは目標別の進捗状況です。

目標1の「貧困をなくそう」は日本では唯一、目標達成の道筋にあると評価され、3「すべての人に健康と福祉を」など10の目標は改善傾向とされていますが、5「ジェンダー平等を実現しよう」、12「つくる責任、つかう責任」など5つの目標は昨年に続き最低評価の「Major Challenges」(深刻な課題)でした。また10「人や国の不平等をなくそう」は評価が「Significant Challenges」(重要な課題)とされ、進捗状況は「情報なし」という寂しい状況です。

ジェンダー平等などは、コロナの影響というよりは意識の問題のように思われます。日本に暮らす我々には、まだまだやれることがありそうです。

ここで、SDGsの17の目標を確認しておきましょう。
1「貧困をなくそう」
2「飢餓をゼロに」
3「すべての人に健康と福祉を」
4「質の高い教育をみんなに」
5「ジェンダー平等を実現しよう」
6「安全な水とトイレを世界中に」
7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」
8「働きがいも経済成長も」
9「産業と技術革新の基盤をつくろう」
10「人や国の不平等をなくそう」
11「住み続けられるまちづくりを」
12「つくる責任、つかう責任」
13「気候変動に具体的な対策を」
14「海の豊かさを守ろう」
15「陸の豊かさを守ろう」
16「平和と公正をすべての人に」
17「パートナーシップで目標を達成しよう」

「持続可能な開発レポート2023」は以下からダウンロードできます(英語)。
https://s3.amazonaws.com/sustainabledevelopment.report/2023/2023-sustainable-development-report.pdf

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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