これは、誰がどのような最先端技術を持っているのか、というのを論文やその共著の繋がりから見て、解析します。例えば、再生エネルギー関連で、世界的に重要視されているとある技術があります。もともと日本人の大学教授が2010年ごろに論文を出して、そこから評価が高まって、関連した研究の論文数が激増したのですが、すでに論文数で言うと他国に抜かれているというのがすぐわかります。
時系列で研究者のデータを追っていくと、以前は、途中まで開示していた情報が急に開示されなくなることもあります。そこから、どの国がどんな情報を隠そうとしているのか、機密扱いし始めたのか、といったこともわかってきます。
──まだまだ対策が追いついていない日本の企業が多いと聞きますが、そういった企業に向けて、アドバイスがあれば教えてください。
日本の企業は自助努力で頑張ろうとする傾向が強いと思いますが、網羅的に調べてファクトを把握することは大事ですし、そのためにテクノロジーを使えば、より早く、広く、人間の力では難しい部分をカバーすることができます。
経済安全保障の分野でも、データをきちんと把握することが重要な武器となります。地政学的な情勢や各国のルールは刻一刻と変わっていきます。そういうなかで、 経済安全保障対策を進めるには、企業が関係する経済的ネットワークの中で自社の置かれている状況を俯瞰的に把握することが重要だと考えます。
山本麻理◎FRONTEO取締役/AIソリューション事業統括兼社長室長。広告代理店を経て、リスクマネジメント会社でメンタルヘルス事業を担当。2014年に取締役就任、17年の東証一部上場に貢献。2018年にFRONTEO参画。