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2023.06.08 10:00

「内向型人間たちのカリスマ」が本誌編集長に打ち明けた、弱さを晒して得たもの

都内・ダイヤモンド社で。写真=曽川拓哉

外向型は「孤独」にこう親しむとよい

藤吉:『「静かな人」の戦略書』のChapter 11の中の「静かな人が『もっとも周到』なことは多い」でも書いておられるように、内向型の人は、1人で思考を深めることが得意です。

チャン
:1人であることと、孤独であることは全く違うと思います。1人でいても孤独を感じないことはありますし、逆に集団の中にいても孤独を感じることはありますよね。
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内向的な人はもともと、1人が平気なように「デザインされている」といってもよいので、1人でいることでかえってエネルギーを得ているのだと思います。ですから、内向的な私から外向的な人たちへ、孤独を豊かに過ごすことへのアドバイスができるとすれば、たとえばまず、ちょっとの短い時間でもいいので、1人で何かをする、1人でいる時間を作るように心がけてみたらどうでしょうか。

たとえば5分間だけ瞑想するとか、 本を読むとか、あるいは映画に1人で出かけるとかを試してみて、いつものコンフォートゾーン、自分が居心地のいい、たとえばみんなといるところからちょっと外に出てみて、そういう時間を、少しずつ、意識的に持ってみたら、少し違う世界の風景が見えてくるんじゃないかと思います。それまで気づかなかった自分の内向性にも気づけるかもしれません。


「ちょっとご挨拶」と思ったら届いた「長い手紙」

──(編集部):藤吉編集長と半年にもわたって、かなり頻繁にTwitterのDMでやりとりをしてくださっています。やりとりはなぜそんなに長く続いているのでしょう?

チャン
:私のTwitterでの発言に対して、マサハルさん(藤吉編集長のこと)がたくさん「いいね」を押してくださり、コメントもつけてくださいました。私はTwitter上にそれほど友達がいないので、コメントをたくさんいただくこともなく、「これはちょっとご挨拶ぐらいした方がいいかな」と思ったんです(笑)。
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それでご返信をしたら、意外と長いメッセージが戻ってきてびっくりしました。まずは私が書いた本をとても気に入ってくださっていること、 そして、子供の頃から自分も弱かったという経験、つまり、すでに今日のお話にも出てきた「弱さ」を豊かに書いてくださっていた。社会的に彼のような立場にいらっしゃる方が、私のような見ず知らずのものにそんな弱さを晒してくださったことに驚くと同時に、ああ、この方は信頼できるんじゃないかなと思ったんです。

私たちのやり取りは、そんな感じで始まっていきました。

本当に本当に大事なストーリーを

とくに私の心の真ん中に響いた、マサハルさんの言葉があります。

それは、自分は、すばやく届きはするけれど刹那に消えるようなメッセージではなく、本当に大事なストーリーを伝えていくことをしたい、そういうストーリーを届けることにこそ意味があると思うから、というものでした。

私のバイブルとも言える愛読書、スーザン・ケイン氏の『内向型人間のすごい力 静かな人が世界を変える』(講談社刊)も7年かけて書き上げられ、私の人生を文字通り変えました。マサハルさんがしていることは、ケイン氏のしたこととまったく同じだと感じたんです。

そして、内向型の私も、本当に大切なことをゆっくりと伝え広げていけばよいのだな、とほっとしたのを覚えています。

読者を振り返らせる刺激を追求するのではなく、メッセージが届く速さを追求するのでもない。そうしなければいけないというプレッシャーがあるなかで、本当に重要なストーリーを社会や世界に広めるという慎重な選択をされたことは、驚異的にすばらしいことだと感じました。

それで、私たちは「(1冊の本、ノートの中で)同じページにいる」、私たちは同じタイプなんだ、と感じました。

そのようにして、私たちの友情は始まったのだと思います。


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構成・文=石井節子 写真=曽川拓哉

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