経済

2023.05.29 10:30

日本投資の「逆張り」で大勝したバフェット、追加投資に勝算は

岸田首相のチームは、ソフトバンク率いるビリオネアである孫を、ブレーンストーミングセッションに呼ぶ手もあるだろう。孫の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」は、第1回だけで1000億ドル(約13兆9600億円)という巨額の資金を擁し、世界のベンチャーキャピタルを塗り替えた実績を持つ。だが、この資本のうち日本国内に投資されたものはほとんどないのだ。

日本を見直すよう、孫に働きかけてみてはどうだろうか? さらに、孫から提言をもらうのもいいだろう。ソフトバンクやバークシャー・ハサウェイ、BlackRock(ブラックロック)といった世界的な投資会社に、2023年の日本に目を向けてもらうために必要な喫緊の課題についてだ。

だが、岸田陣営からは何の音沙汰もない。今こそ、岸田首相の経済的ブレーンが仕事に取りかかり、早急に成果を挙げるべきタイミングだ。鈴木俊一財務大臣と、西村康稔経済産業大臣にこの仕事は手に余るというのなら(そんなことはないと思うが)、岸田首相は今すぐ内閣改造に乗り出すべきだ。

改革が遅々として進まない現状から抜け出すために、まさに「リセット」が必要とされている。それが実現すれば、バフェットや孫、そしてその他の巨額の資金を抱える投資家に対し、日本が野心的な投資対象として価値があることを示す動きになるだろう。

日本国内的に言えば、リセットとは、企業のトップがさらなる賃上げに踏み切るよう促すことでもある。日本の労働組合が2023年の春闘で、30年ぶりの高水準となる平均3.8%の賃上げを勝ち取ったことは、最大の希望の光の1つだ。これには、この40年で最高レベルのインフレへの対応、そして労働市場が縮小するなかで働き手を確保するための切羽詰まった策という側面がある。

だが、今後も賃上げを継続するには、日本経済が間もなく上昇に転じると各社のCEOたちに納得させる必要がある。バフェットが投資している旧来からの総合商社だけでなく、高賃金の雇用を創出する「新しい日本企業」と、国内需要を押し上げる新たな富が必要だ。

岸田首相率いる自民党は、大胆な改革を予告する、大がかりで派手な発表を行うべきタイミングだ。「バフェット効果」が日本に転がり込んでくることなど、そうめったに起こることではない。それが開いてくれたチャンスの窓を不意にするようなことがあれば、まさに経済的な過ちにほかならない。

forbes.com 原文

翻訳=長谷 睦/ガリレオ

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