出生数と繋がっているのが婚姻数だが、13年以降、令和婚ブームで一時的に増加した19年を除いて低下傾向が続き、コロナ禍の影響で20年、21年には大きく減少。婚姻事情には、年齢や地域による違いも存在する。
そうした中、結婚相談所を中心とした婚活事業を展開するIBJは5月18日、22年に同社の結婚相談所ネットワーク内で成婚した1万1269名の成婚者データから「成婚しやすさ」を分析した「成婚白書」を公開した。
まず、成婚しやすい(※)年齢については、女性は「20~29歳」、男性は「25~34歳」がボリュームゾーンとなり、女性の方が低い傾向に。女性は成婚しやすさが35歳以降に、一方の男性も40歳以降に100%を下回り、男女ともに年齢が上がるに連れて成婚しにくくなっている。
地域別に結婚相談者への入会数を比較すると、2018年比で200%を超えるエリアが半数以上に。20代に限定すると、「関東」「中京」「近畿」以外で200%を超え、「東北」「甲信越」「四国」では500%を超える結果に。同社は、それらの地域では総人口に占める20代人口の割合が全国平均の9.7%を下回っていることから、20代同士で自然に出会う確率は全国と比べて少なく、若い世代の結婚相談所利用が増えていると考えられると分析した。
さらに、地域別の成婚割合を見てみると、例えば20代男性は「東京都」(39.7%)と「東京都以外」(22.9%)では16.8 ポイントの差、「3都府県」(33.3%)と「3都府県以外」(21.9%)でも11.4 ポイントの差があり、地方よりも 3都府県、中でも東京の方が成婚しやすいことが分かる。一方で女性は、「3都府県」(27.4%)を「3 都府県以外」(30.6%)が 3.2 ポイント上回り、男性とは反対に地方で成婚しやすいことが明らかになった。
同社は、人口集中が加速する中、若者が集まる東京都や3都府県では出会いも多くなる傾向があり、地方の若い女性は、進学や就職を機に地元を離れる割合が高いことから、 地方では「未婚男性余り」に陥って成婚しにくくなっている現状があると解説。地元に残る選択をする女性が増えると、地域内での成婚が生まれやすくなる可能性が高まるだろうとの予測を示した。
コロナ禍の影響で、リモートワークを行う企業、オンライン授業を行う学校が出てきたことで、地元に残ることや地方移住の選択肢を検討する若者は増えた。地方創生のために、若者を呼び込む施策を実施する地方自治体も目立つ。婚姻数を増やし、出生数の増加に繋げていくためには、デジタルやネットワーク、その地域が持つ特長を最大限に生かして、いかに若い女性が魅力を感じる街づくりをできるか、それが一つの肝になりそうだ。
参考)日本の将来推計人口(令和5年推計)
https://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2023/pp_zenkoku2023.asp
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