政治

2023.05.16

政争の具となった暗号資産、米民主・共和両党がバトル開始

バイデン大統領(Shutterstock)

ビットコインやイーサなどの主要な暗号資産は今年に入り米国で、一部の人々が「すべての価値を破壊する」と考えるほどの、厳しい規制の導入の可能性に直面している。

ビットコインの価格は2023年の最初の数カ月間に上昇したが、2021年秋につけた最高値には遠く及ばない。一方、イーサやその他の暗号資産の命運は、米証券取引委員会(SEC)と米商品先物取引委員会(CFTC)の縄張り争いの中で宙に浮いた状態だ。

SECのゲンスラー委員長は、ビットコイン以外のプルーフ・オブ・ステーク(PoS)を基盤とするすべての暗号資産は証券に該当し、SECの監督下に置かれるべきだと主張している。一方で、CFTCはバイナンスに対する訴訟で、3月にビットコインとイーサを商品に分類し、CFTCの管轄下にあると主張した。

そんな中、民主党の下院金融サービス委員会のメンバーに配布されたメモがリークされ、議員らが「ほぼすべての暗号資産を証券に分類する」というSECの方針を支持するよう求められたことが明るみに出た。

このメモは、5月10日の合同下院公聴会に先立ち、民主党が委員に渡したもので、Foxビジネス記者のEleanor Terrettがツイッターでリークした。

「問題は曖昧さではなく、既存の法律を守らない企業が多すぎることだ。クリプト(暗号資産)の企業が明確なルールに従わないからといって、新たな融和的な規制の仕組みを作り出すことはできない」と、そこには書かれている。

メモは、民主党議員に対し「市場の明確化を図るためにCFTCの意見を取り入れるべきだ」という共和党の主張に反論するよう求めており「共和党は、投資家と消費者を守ることに真剣ではない」と述べている。

テッド・クルーズのような著名な共和党員が暗号資産を支持する一方で、民主党のエリザベス・ウォーレンは、「アンチ暗号資産軍団」の結成を宣言しており、ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産は、昨年から党派間の争いの種となっている。

さらに11日には超党派の上院議員2名が、エルサルバドルがビットコインを法定通貨に採用したことを非難する2022年の法案を再提出した。

共和党のジェームズ・リッシュ上院議員と民主党のボブ・メネンデス上院議員が再提出したこの法案は「ビットコインは経済・金融の安定を弱体化し、悪意のある勢力に力を与える恐れがある」と主張するもので、米国の連邦機関に対し、2021年に世界で初めてビットコインを法定通貨としたエルサルバドルのサイバーセキュリティと金融の安定能力を評価する報告書の提出を求めている。

共和党のリッシュ議員は、ワシントンエグザミナー誌に対し「米国の中米への関与を考慮すると、ビットコインの法定通貨への採用がエルサルバドルの金融と経済の安定や、マネーロンダリングなどへの対処にどう影響するかについて明確にする必要がある」と述べている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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