基本的な考え方は、水星が「逆行」しているとき、ものごとが普段より計画どおりに進まないというものだ。たとえば乗り継ぎができなかったり、遅れたり、キャンセルされたり。
占星術師と天文学者の間で、水星の運動(あるいは見かけの運動)と、2つ離れた惑星に住む人間たちの日常生活で起きる出来事との関係について、一致を見ることは考えにくいが、水星が逆行していることの意味については、事実上意見が一致している。
「惑星が逆行していると私たちがいうとき、それは地球から見て、惑星が空を横切る運動が、一定期間、毎夜、いつもの方向とは逆になることを意味しています」と、宇宙科学機関である惑星協会のケイト・ハウウェルズは説明する。
天文学者の用語は「見かけの逆行運動(apparent retrograde motion)」であり、それは水星が実際に運動方向を変えるわけではないからだ。実際には、2つの惑星が太陽を周回する中で、動いている水星が、よりゆっくりと動いている地球を追い越すことによる、観点の問題だ。
結果として水星は、空を逆方向に横断していくように見えるが、現実には、水星が周回する軌道が太陽にずっと近くて短いために、地球を追い越しているだけだ。
The astronomical explanation for Mercury's retrograde motion in our skies: the inner planet appears to retrace its steps a few times per year. Every planet does this, every year. In fact, there is a planet in retrograde for 75% of 2020 (so, it's not unusual) pic.twitter.com/HBHThq475i
— Dr James O'Donoghue 🪐 (@physicsJ) July 12, 2020
この事象は思ったより頻繁に起きている。水星の軌道周期は、地球の365日に対してわずか約88日なので、水星が見かけの逆行運動をする現象は1年に3~4回起きる。