「逆行(retrograde)」という言葉は、惑星が実際に他の天体と逆の方向に動くことを指す場合もある。たとえば金星は、他のほとんどの惑星とは逆方向に自転している。そのため金星では太陽が西から昇り東に沈む。他の多くの衛星と逆方向に周回している衛星もある。
しかしこれは、通常と逆に動いて見えるというだけの話だ。惑星や衛星が一旦停止して公転の向きを完全に逆行したり、反対方向に自転し始めるという状況は、これまでに観測されたことがなく、もし起きればその現象(あるいはその結果)が、注目すべきかつ破壊的事象になることは間違いない。
現在の水星における見かけの逆行運動期間は米国時間4月21日に始まり、5月15日に終わる。およそ3週間、逆行しているように見えた後、水星は再び「前方」に動き始める。
しかし、これらの軌道パターンが地球の出来事の流れに影響を与えるという考えに対して、科学は何を言えるのだろうか?
「いかなる惑星の見かけの逆行運動も、あなたに影響を与えることはありません」とハウウェルズはいう。
ちなみに、農民のための年鑑ファーマーズ・アルマナックは、水星が逆行しているときは、ちょっと休んで思いにふけることを推奨している。
「柔軟かつ忍耐強く思いやりをもって振る舞い、移動時間に余裕を持って、確信の持てない新規契約に署名することは避けましょう。メールは再確認してから返信し、旅行前には予約を取りましょう」
これは、何か特定の惑星の見かけの逆行運動と関係なく、1年を通じて適切なアドバイスだ。
(forbes.com 原文)