宇宙

2023.05.10

ものごとが順調に進まない?「水星逆行」を天文学的に解説

宇宙から見た水星の想像図(Getty Images)

占星術の世界では、短縮して「水星逆行」とだけ呼ばれているため、少々誤解を招きやすいが、占い好きのほとんどは、実際に水星が方向を変えているわけではないことを認識しているように思える。

「逆行(retrograde)」という言葉は、惑星が実際に他の天体と逆の方向に動くことを指す場合もある。たとえば金星は、他のほとんどの惑星とは逆方向に自転している。そのため金星では太陽が西から昇り東に沈む。他の多くの衛星と逆方向に周回している衛星もある。

しかしこれは、通常と逆に動いて見えるというだけの話だ。惑星や衛星が一旦停止して公転の向きを完全に逆行したり、反対方向に自転し始めるという状況は、これまでに観測されたことがなく、もし起きればその現象(あるいはその結果)が、注目すべきかつ破壊的事象になることは間違いない。

現在の水星における見かけの逆行運動期間は米国時間4月21日に始まり、5月15日に終わる。およそ3週間、逆行しているように見えた後、水星は再び「前方」に動き始める。

しかし、これらの軌道パターンが地球の出来事の流れに影響を与えるという考えに対して、科学は何を言えるのだろうか?

「いかなる惑星の見かけの逆行運動も、あなたに影響を与えることはありません」とハウウェルズはいう。

ちなみに、農民のための年鑑ファーマーズ・アルマナックは、水星が逆行しているときは、ちょっと休んで思いにふけることを推奨している。

「柔軟かつ忍耐強く思いやりをもって振る舞い、移動時間に余裕を持って、確信の持てない新規契約に署名することは避けましょう。メールは再確認してから返信し、旅行前には予約を取りましょう」

これは、何か特定の惑星の見かけの逆行運動と関係なく、1年を通じて適切なアドバイスだ。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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