2020年4月以降、低炭素電力、輸送、建物や産業分野のエネルギー効率化を中心に、1.2兆ドル以上が拠出されています。
拠出額の大半は先進国によるものであり、開発途上国は消費者の負担軽減策に重点を置いています。本題についてWEFのアジェンダからご紹介します。
ロシアのウクライナ侵攻による地政学的不確実性の高まりから、多くの国は、化石燃料への依存を減らすべく懸命な努力を続けています。
これは、国際エネルギー機関(IEA)による最新版の「エネルギー関連政府支出調査(Government Energy Spending Tracker)」で明らかになった重要な結果の一つです。IEAは、2020年4月から2022年10月に67カ国で実施された1600近い財政措置を分析し、結果をまとめました。
グローバル危機により、クリーンエネルギーが拡大
IEAによると、2022年3月以降、政府によるクリーンエネルギーへの支出額が5000億ドル増加しています。新型コロナウイルスのパンデミック発生以降、クリーンエネルギーに拠出された金額は、1.2兆ドル以上になりました。IEAのファティ・ビロル事務局長は、「各国政府の危機対応は正しい方向に進んでいる」と述べ、「クリーンエネルギーへの転換に対する資金援助は過去最大規模であり、これがエネルギー安全保障を向上させ、燃料価格高騰が消費者に与える影響を和らげている」と付け加えました。
また、IEAは、クリーンエネルギーに対する政府の大規模な支出が「大きな民間投資の流れ」の起爆剤となる可能性が高いと考えています。これにより、世界の総合的なクリーンエネルギー投資額がさらに50%拡大し、2030年には年間2兆ポンド以上になると推定されます。
投資規模が最も大きいのは電力部門
IEAのエネルギー関連政府支出調査によると、低炭素電力部門の資源が2020年4月以降に4倍に増加したとされます。主な要因は、2022年に施行の米国のインフレ抑制法(US Inflation Reduction Act)における租税優遇措置や、欧州諸国で新たに導入された措置だとされています。また、同調査は、クリーンエネルギー投資に対する資金援助額が最も大きいのは、低炭素電力(2900億ドル)で、次に公共交通機関・代替交通手段(2560億ドルのうち、半分近くが高速鉄道)が続くことを明らかにしています。
また、次に規模が大きいのは、建物や産業部門におけるエネルギー効率向上(2540億ドルで、うち半分はエネルギー効率向上に向けた改修に充当)、クリーン燃料と技術革新(1770億ドル)としています。