ブルームバーグによると、先月あるエンジニアが社内機密のソースコードをChatGPTにアップロードし、誤って流出させたことが発覚。これを受けサムスンは先週、「生成AI」ツールの使用禁止を社内に通知した。
この情報流出がどれほど重大だったかは不明だが、サムスンは、AIチャットボットに共有されたデータがOpenAIやマイクロソフト、グーグルといったAIサービス運営企業のサーバーに保存され、容易にアクセスや削除ができない状態になることを懸念。さらに、ChatGPTなどと共有された機密データが最終的に他のユーザーに提供されてしまうことも懸念しているという。
ChatGPTはデフォルトでユーザーのチャット履歴を保存し、モデルを訓練するのに使用している。ChatGPTではユーザーが手動でチャット履歴の保存を無効にできるが、古いチャット履歴も削除されるかどうかは不明だ。
アマゾンも1月、従業員に対し、ChatGPTで会社のコードや機密情報を一切共有しないよう通知した。メディア報道によると、ChatGPTの回答例の中に、アマゾンの内部データと類似しているものが見つかったことが理由とされる。
2月には米銀JPモルガン・チェースも、機密性の高い金融情報の共有をめぐる規制違反の懸念から、従業員のChatGPT使用を大幅に制限。ほどなくしてバンク・オブ・アメリカ、シティグループ、ウェルズ・ファーゴ、ゴールドマン・サックスといった米国の主要金融機関やドイツ銀行も同様の措置を取った。
こうした懸念をよそに、生成AIツールを一連の業務に組み込み始めている企業もある。従業員によるChatGPTの使用を制限したゴールドマン・サックスは先月、ソフトウエア開発者のコーディングやコードの試験をサポートするために生成AIを使用していることを公表。ただ、具体的にどのようなツールやサービスを使っているのかは明らかにしなかった。
米経営コンサルティングのベイン・アンド・カンパニーも今年、OpenAIの生成AIツールを自社の経営管理システムに組み込んでいることを発表。5月1日にはIBMの最高経営責任者アルビンド・クリシュナが、AIツールでできる仕事については人間の採用をやめると表明した。
(forbes.com 原文)