しかし現実には、職場での対立はますますありふれたものになってきている。Myers-Briggs Company(マイヤーズ・ブリッグス・カンパニー)による最新の調査「Conflict at Work(職場での対立)」によれば、管理職は週に平均4時間を、対立への対処に費やしている。同調査によれば、職場での対立に費やされる時間は、2008年以降で2倍に増加している。
残念ながら、職場におけるネガティブな摩擦はビジネスに有害であり、コストをともなう。例えば、CCPグローバル・ヒューマン・キャピタルの報告書によれば、職場での対立が米国企業にもたらす年間損失は推定約3590億ドル(約49兆900億円)に上る。しかし、ポジティブに対処すれば、職場での対立をエンゲージメント、共感、コミュニケーションの改善に役立てることができる。
しかし職場での対立には悪評がつきまとうが、実は驚くほど生産的なものになりうる。以下にその理由を説明していこう。
より良い解決策の発見
職場での対立は、多様性のあるチームにつきものだ。多様性のあるチームとはつまり、各個人が異なる視点から、互いの意見に異を唱えるようなチームのことだ。そしてこうした多様性は、より良い意思決定につながり、収益にプラスに作用する可能性がある。例えば、300以上の上場企業を対象としたMcKinsey(マッキンゼー)の報告書によれば、管理職の多様性に関して上位25%に含まれる企業は、業界平均を上回る利益を上げている確率が35%高かった。加えて、ジェンダー多様性で上位25%に含まれる企業は、業界平均を上回る利益をあげている確率が15%高かった。