EXPO終了後、各ブースの担当者が「商品についてではなく、ビジョンや想いについてお客さんと語らうことが多かった」と口々に語り、中川は意図が伝わっていることを実感したという。
会場では不思議な出来事も起きていた。例えば、一人で来たお客さん同士が、たまたまテラス席で一緒になって話していたところ、5分後には「日本はこの先どうなっていくんですかね」と、とても初対面とは思えない会話が交わされたのだ。
他にも、お客さんがあんぱんを買うにあたり、現金が少し足りなくて購入を諦めそうになった際、後ろに並んでいた方が「僕が出しましょうか」と声をかけるという稀なコミュニケーションも見られた。
「意外だったのは、会場で一番人気のあったコンテンツが、ライフスタンスについて説明した巨大なパネルだったことです。美術館などに行っても、テキストがたくさん書かれたパネルって読まれないことが多いですよね。でも中には20分くらいかけて見ている方もいて、正直おどろきました。皆さん、ライフスタンスという言葉は知らなくても、そこへの期待感はあり、読んでみたら『まさに同じようなことを考えた』と、各々の関心事と繋がったようです」
当日の来場者数は約1300人。目標としていた3000人には満たなかったものの、「僕らとしては、負け惜しみでも何でもなく、想像以上にうまくいったと思っています」と中川は手応えを感じている。
実際に結果報告のために参加企業を訪問した際も、「本当に良かったですね。来年もぜひやりましょう!」とポジティブな反応が返ってきた。
「Lifestance EXPOをやるにあたってよく議論に上がったのは、このイベントはto Bなのか、to Cなのかということでした。でも、それを分けて考える事自体が間違いだと気づいて。お客さんもスタッフも、企業も個人もが一緒になって、志や思想、哲学、それこそ“ライフスタンス”について語らい、互いに信頼関係を築く。それこそがPARaDEの目指すべき姿なのだと」