「ライフワークバランスって、実はミスリードなのではないかと思っています。というのも、多くの人が生活者でもあり、会社人でもありますよね。この2つの人格を使い分けることが、ストレスになっているケースが意外に多いのではないかと。例えば、会社が自分の考えとは違うことをやっていても、これは仕事だと割り切ってやらざるを得ない状況って、少なからずあるじゃないですか。
願わくば、自分が良いと思う感覚で、素直に生活も仕事もできるのがヘルシーな状態。その状態を作り出すために、『会社』が果たす役割はやっぱり大きい。多くの方は仕事をしていますし、人生の大半の時間を仕事に費やすので、いい会社が増えれば、人にとっても社会にとっても、良い影響が効率的に生み出せます。
そのようなへルシーな循環が、経済を突き動かすくらいの大きなウネリとなれば、人が素直に自身の『真善美』を信じて、生活して、働いて、清々しい世界が創れると思うんです」
中川淳◎1974年生まれ。京都大学法学部卒業後、2000年富士通入社。2002年に中川政七商店に入社し、2008年に十三代社長に就任、2018年より会長を務める。2021年、PARADEを設立し、代表取締役社長に就任。著書に『小さな会社の生きる道。』(CCCメディアハウス)、『経営とデザインの幸せな関係』(日経BP 社)、『日本の工芸を元気にする!』(東洋経済新報社)