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2023.04.25 10:00

マルエツら流通危機に向け戦略的提携、賞味期限「1/2ルール」時代へ

Getty Images

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政府が本気の対応を始めた影響か。物流危機回避に向けて、納期(リードタイム)の延長など対応を進める企業が目立ち始めている。

コンビニエンスストアローソンは運転手不足を考慮した対応を進めると発表した。2024年3月までに弁当や惣菜の店舗配送を1日3回から2回に減らす。

サミット、マルエツ、ヤオコー、ライフコーポレーションの食品スーパー大手4社は共同で、物流効率化に向けた具体的な取り組み宣言を公表した。

スーパー大手4社は追加発注の取りやめ、1/3ルール改正に合意

食品スーパー大手4社の取り組み内容は次の4つだ。

・定番発注商品、締め時間の前倒し
・特売・新商品のリードタイム確保
・納品期限の緩和 1/2ルールへの統一
・流通BMSによる業務効率化

加工食品物流を対象としている。1つずつ補足を入れよう。

まず「定番発注商品、締め時間の前倒し」と「特売・新商品のリードタイム確保」。これは小売が卸に対し、余裕を持った発注をすることで、卸・メーカー間のリードタイムに余裕を持たせる取り組みだ。定番商品に関しては前々日の午前中、特売・新商品に関しては6日以上前の発注で、追加発注もしないことに4社は合意したという。

次に「納品期限の緩和 1/2ルールへの統一」だ。製品の製造日から賞味期限までの期間を「1(全体)」と見立て、全体のうち1/2の期間までを仕入れの対象にすると統一した。

具体的には、たとえば製造日から賞味期限までの全期間が60日だとして、製造後30日までの製品を仕入れ可能とするルールだ。これまで、1/3ルール(すなわち、上の例だと「製造後21日」を経過した製品は仕入れない)を採用してきた小売もあり、対応がまちまちだった。

メーカー・卸にとって納品先の対応に違いがあることで生まれる業務や在庫管理の煩雑さを解消する狙いだ。販売期間が長くなるため、出荷・輸送の手配にも余裕が生まれる。

「流通BMSによる業務効率化」については、共通のシステムを使うことにより、検品や伝票をなくし、業務を効率化する。

荷主企業各社、競争から協調へ


食品スーパー大手4社は本来、競合関係にある。手の内を見せ合い、物流効率化に向けた研究を引き続き進めていく姿勢は「生活者への途切れることのない食品供給」の維持を目的と示した。

納品に余裕を持たせたうえで業務を効率化する取り組みにより、荷待ち時間の削減効果や積載率の向上が期待できる。

こうした取り組みは現状の商慣行と比較すれば、小売にとって過剰在庫や販売機会の損失のリスクもはらんでいるだろう。小売から生み出された余裕を卸・メーカーがうまく活用しなければ物流の持続可能性にはつながらないのも留意したい点だ。それでも積極的に取り組む意義は大きく、他業種においても後に続くべき例だろう。
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文=田中なお 編集=石井節子

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