北米

2023.04.18

全米で万引きが深刻化、堂々とした組織的な犯罪に

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地元の店に対する信用もガタ落ちだ。さらに悪いことに、万引きの多発を理由に、小売店の営業時間が短縮されたり休業になったりする場合もある。日用品を買うために、遠くまで足を運ばざるを得なくなる人もいるだろう。さまざまな理由で、買い物客は不便を被っている。

4.小売業者は事の重大さを理解し、対応を余儀なくされている

小売企業の幹部や資産保護担当者、店員はビジネスや買い物客、業界に対して万引きが及ぼす影響を痛感している。そのため、新たなコスト負担や、店舗運営の見直し、新戦略の立案などを通じて、顧客サービスに絡んだ課題に対処している。

5.万引きは社会全体が取り組むべき問題

このような万引き問題は、ビジネスにも治安にもマイナスであるため、地域リーダーである政治家などは対応を迫られている。一部の州では、法律の改革や制定に動き始めたり、万引きグループの捜査本部を立ち上げたりしている。

コミュニティがこうした事態に目を閉ざし「見て見ぬふり」を続ければ、問題はいっそう悪化するだろう。地元当局が記者会見を開き、今後も安心して地元で買い物ができると人々を安心させようとする状況であれば、見て見ぬふりはできない。

6.社会は「団結」して万引き問題を解決しなくてはならない

万引きは、小売業者だけの問題ではない。全米小売業協会の言葉を借りれば、万引きに歯止めをかけることは、米国全体の問題だ。地域や州をまたいで活動する犯罪集団が組織的に関与していることが多いからだ。

多様な利害関係者が、行動を起こす必要がある。小売業者は引き続き、警察や地元コミュニティと協力して、データ提供や万引きの通報、捜査支援を行う必要がある。また警察側は、コミュニティの枠を越えて小売業界と連携し、組織的な犯行を指揮する主犯格を逮捕しなくてはならない。

最後に

店員に、鍵がかかった商品棚があるのはなぜかと尋ねてみてほしい。万引き被害の話をたくさん聞かせてくれるだろう。その犯行がいかに堂々としていて図々しいか、訴えてくるかもしれない。

万引きは、小売業特有のものだ。店のドアは開いており、誰でも入店できる。出入口が複数ある店舗もあり、その場合、防犯対策はなおさら容易ではない。店頭のショーウィンドウやショーケースなどを「壊して商品を強奪する」事件も、聞き飽きるくらい報じられている。

米議会の上院と下院では、小売店を狙った組織的な犯罪に関する法案「Crime Act of 2023(2023年犯罪法)」が審議されており、万引き問題について広く知られるきっかけになるだろう。早急な対策が必要だ。

forbes.com 原文

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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