──具体的には、どのようなルートから被害に遭ってしまうのでしょうか?
小林拓矢(以下、小林):Facebookやインスタグラムを通して「友達になろう」というDMが届いたり、YouTubeを見ていて「スマホをタップするだけで日給10万円を目指す」という広告のように、SNSを通して自分でも気がつかないうちに詐欺のターゲットになってしまうケースが大半を占めています。
警戒されないように、相手は、最初から詐欺話を持ち掛けてきません。「私はシングルマザーで〜」「自分は投資の先生の下で投資の勉強をしている」といった、日常会話的な身の上話から入ってきます。あるいは、広告をクリックしたらLINEに繋がったりといったように、実に巧妙な手口を使ってくるので、詐欺だという自覚症状がないまま、被害に遭っているケースがほとんどです。
初回は、わずか数万円投資すると、いくらか利益が乗った状態で投資した資金が返ってくるので、次回はもっと高額な投資を勧められ、次第に詐欺のスパイラルにハマっていくケースに陥ってしまいます。詐欺相手が摘発されれば表面的にはそれ以上被害は拡大しませんが、詐欺相手は、足がつかないように、1〜2年で別会社に変わってしまうので、トカゲの尻尾切りではないですが、取り締まる事が非常に難しいのが実情です。
怖いのは、一度詐欺にかかってしまうと、ブラックリストならぬ対象者(被害者)リストが存在しているようで、巷では、リスト化された富裕層リストが売買されているという話もあります。
──実際は、どういった詐欺が多く、どんな方が被害に遭ってしまうのでしょうか?
小林:当事務所にご相談にいらっしゃる男女比は、1:1です。そのなかで、20代から60代まで、あらゆる年齢層が詐欺に遭っているのは、FXや暗号資産やアフィリエイトといった「情報商材」です。海外だから違法にならないという認識がまかり通っている「オンライン・カジノ」は20代が多く、40代50代に多い「国際ロマンス詐欺」は、資産を持っていらっしゃる方がターゲットとなる傾向があります。
また、経営者の方は、常に新しいものを採り入れたいという探究心をお持ちの方が多く、それが仇になってしまい、暗号資産やメタバースに関する詐欺に遭うおそれがあります。