子どものアレルギーリスクを減らすペットとそうでないペット

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科学者らは考えられる説明をいくつか提示している。たとえば、動物の微生物叢(人間を含む動物が保持している微生物群集)に対する人間の免疫系の反応の仕組み、皮膚や巨大なアレルゲンの倉庫である大気を通じたアレルゲンとの接触、あるいはペットがいる家庭環境などだ。データは、幼少期におけるペットとの接触が食物アレルギー、湿疹、ぜん息、花粉症など複数のアレルギー症状を軽減することも示唆している。本研究は観察に基づくものであり、ペットとの接触がアレルギーの発症をどう変化させるのか、そもそも変化させるのかを実験的に調査したものではないが、理論を支持するものではある。

どんなペットとの接触でも、子どもの食物アレルギー発症を抑制するわけではない。ハムスターと接触した子ども(対象者の1%以下)は、ハムスターと触れ合わない子どもよりもナッツアレルギーの比率が有意に高かった。ハムスターはナッツを常食としており、ハムスターの餌との皮膚を通じた接触(新生児をナッツアレルゲンに対して敏感にさせる可能性がある)が、アレルギー発症率を高めたことの説明になりうると岡部はフォーブスに伝えた。確実に知るためには追加研究が必要であり、手洗いおよび「ペットを赤ん坊と離しておくことでペットフードによる食物アレルギーのリスクを最小限にできるだろう」と岡部氏は付け加えた。

研究チームは、自分たちの研究によってペットとの接触がどのように食物アレルギーの発症を減らすかが明確になり、いつの日か「食物アレルギーの予防と治療の新たな戦略に貢献する」ことを望んでいると岡部氏は話した。

ペットの種によって相関のあるアレルギーの種類が異なるという発見は、動物種に固有な腸内微生物叢が関与していることを示唆するものだという。検証するためには追加の研究が必要だと岡部氏は強調し、これは「できるだけ多くの種類の動物と触れ合う」ことが望ましいという意味ではないとチームは考えていることを付け加えた。

研究チームは幼少期に鳥やカメと接触した子どもの食物アレルギーも調査した。データは統計的に有意なものではなく、いずれの動物種にも研究対象の食物アレルゲンとの明確な関係は見られなかった。これらの動物とアレルギーの相関を検証し、統計的に有用な結果を出すためにはさらなる研究が必要だが、本研究のデータは、幼少期にカメと接触した子どもたちに大豆とナッツのアレルギーが多く見られ、鳥と接触した子どもたちにナッツと卵のアレルギーが多いことを示唆している。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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