天才創業者率いる米ルミナー、非自動運転車用LiDARで躍進

Photo by Tayfun Coskun/Anadolu Agency via Getty Images

自動運転車の開発は、推進派が当初考えていたよりも困難であることが分かってきている。それでも、自動運転車がレーザー光を使い周囲の状況を3次元で把握するために使われるLiDARセンサーを開発する米企業ルミナー(Luminar)は、成長見通しを変えていない。オースティン・ラッセルCEOによると、同社はADAS(先進運転支援システム)の一部としてセンサーを提供する契約を乗用車とトラックのメーカー6社と締結しており、今後数年で数百万台に同社の技術が搭載される見込みだ。

ルミナーがボルボにLiDARを供給する契約を獲得してから約2年で、提携社数は劇的に増えたという。ラッセルは、同社が2月末に開いた投資家向けカンファレンス「ルミナー・デー」の開催前にフォーブスの取材に応じ、「今では、われわれの製品は世界中で20の異なる市販車モデルや派生車に搭載されている」と述べた。

同社が今年メキシコのモンテレイに開設する工場では、ボルボやSAIC(上海汽車)、ポールスター(Polestar)、日産、メルセデス・ベンツ、トラックメーカーのダイムラーに供給するセンサーを生産する計画だ。「数年以内に数百万台に搭載されるようになる」とラッセルは述べた。

フロリダ州オーランドに本社を置くルミナーは、現行の主要製品をよりスリムにした新バージョン「Iris+」の生産体制を整えている。この新型LiDARは、最大300メートル先にある障害物の詳細な画像を生成することができ、速度無制限道路として知られる欧州の「アウトバーン」を走行する速度でも小さな障害物との衝突を回避することが可能という。この新製品の量産は、高度に自動化されたモンテレイ工場で行う予定だ。

ルミナーはかつて、自動運転車向けLiDARを最初に商品化したベロダイン(Velodyne)に対抗するスタートアップの1社に過ぎなかった。しかしこの5年間で、製品を搭載している車両台数では事実上の業界リーダーとなった。ルミナーは、アルファベット傘下のウェイモなどが開発中のロボタクシー型完全自動運転車よりも、運転機能を部分的に自動化するADASにLiDARを統合することに当初から専念してきた。

LiDARは、昼夜を問わずあらゆる路上の物体の3次元点群画像を生成可能で、デジタルカメラやレーダーよりも多くの情報を提供することが可能だ。同社のLiDARの価格は、ソフトウエア込みで約1000ドル(約13万円)だという。
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編集=上田裕資

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