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2023.03.24

リコマースが長期的なトレンドに。世界最大の小売イベントレポート

ファーストリテイリング CIOの丹原崇宏がAvery Dennison、Accentureと共に登壇したセッションの様子。同社が実現したセルフレジへの関心もあってか、当日の会場は満席で立ち見も出た

全米小売業協会(NRF)が主催するNRF Retail Big Showは、毎年米国ニューヨークで開催される世界最大の小売業界向けイベント。

数年にわたるコロナによる混乱の後、今年は3日間で3万5000人以上が展示会場を訪れ、賑やかなNRFが帰ってきたと実感しました。

この数年、小売企業はその力強さを証明してきました。変化や状況に迅速に対応し、ある企業はほぼ一夜の間にオムニチャネル事業を強化し、サプライチェーンの問題に立ち向かう方法を見出しています。もちろん課題は残されていますが、2023年の展望は明るいと感じています。

小売業界のエグゼクティブ、ソートリーダー、テクノロジープロバイダーが大挙して参加した今年のNRF 2023は、どのような言葉で表現されたのでしょうか。米調査企業のRISによると、参加者がNRFを表した単語で最も多かったのは「Growth(成長)」だったようです。
 
米ウォルマートのPresident兼CEOのJohn Furnerが、ハーバード・ビジネス・スクールのJames Cashとの対談の中で「新しい常識は、実は古い常識である」と述べたのは興味深いものでした。お客さまが求めているのは、費用対効果、手軽さ、選択肢、そしてパーソナライズされた体験であることは昔から変わってはいないのです。

テクノロジーを使った「新しい常識」への取り組み

ここ数年、ビジネスの成長を目的としたデジタル戦略に取り組んできた老舗百貨店・メイシーズのChairman兼CEOのJeff Gennetteは次のように述べました。

「サプライチェーンを再構築し、サプライヤーと協力して貨物の輸送方法を改善しました。また、データサイエンス、アロケーションサイエンス、プライシングサイエンスを駆使し、デジタル戦略によって、より優れたサービスを提供できるようになりました」

スーパーマーケットチェーンのクローガーは、デジタルツインで店舗経験の革新を目指していると発表しました。デジタルツイン上で待ち行列を再現し、チェックアウトの多様な設定やその他のプロセスをデジタル上でテストし、チェックアウト体験の改善策を探っています。

VP of Technology Transformation and R&DのWesley Rhodesは以下のように述べています。「私たちは、顧客が店舗から出るまでに必要な時間と労力を理解したかったのです。最終的には、レジを最適化し、お客さまの摩擦を減らし、より速いチェックアウトプロセスを実現することが目標です」

ユニクロやジーユーの在庫管理やセルフレジでRFID技術を活用するのは、ファーストリテイリング。CIOを務める丹原崇宏はBig Idea Sessionで講演を行い「お客さまが望むものをいつでも、どこでもお届けできるサプライチェーンを構築するため、パンデミック以前から、RFIDの導入を含むサプライチェーンの変革に取り組んできた」と話しました。

今後はサステナビリティの観点から、素材の調達や管理といったサプライチェーンの上流の透明性を担保するトレーサビリティも強化する予定だといいます。
ユニクロやジーユーでは日常的な風景の一部となったセルフレジ。RFIDを活用しているため、買い物客がバーコードをスキャンすることなく、瞬時に精算を行える。
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文=Francisco Melo

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