ビジネス

2023.03.19

自分の課題がみんなの力に「Me to Me」

世界ゆるスポーツ協会誕生

「何か自分起点で “Me to Me”事業を始められないか?」そんな思いから生まれたのが、2015年に設立した「世界ゆるスポーツ協会」。「スポーツ弱者を、世界からなくす」をミッションに、スポーツが苦手な方でも楽しめるスポーツをこれまで110競技以上開発してきました。

どうしてこの事業を始めたか? それは、私自身スポーツが苦手だったからです。体育の時間は地獄、いや拷問でした。12歳のときに「もう自分はスポーツを引退しよう」とアスリートでもないのに決別宣言。そしてスポーツコンプレックスを抱えたまま大人になったのですが、せっかくなのでこの弱さを起点に “Me to Me”してみたらどうなるんだろう? と興味が湧いたんです。

設立してから7年がたちましたが、いまでは私の暮らしにスポーツは欠かせません。月に100km近くを走る習慣もつきました。どうしてか? それは、ゆるスポーツを通じて多くの成功体験を得たからです。

「ハンドソープボール」という競技があります。特殊なスポーツ用ハンドソープを用いるハンドボールです。この競技で私は、ハンドボール元日本代表キャプテンの東俊介さんと対等に戦うことができました。ゆるスポーツはこれまで20万人以上の方に参加いただいて、エストニアや香港など、海外展開も次々進めています。

驚いたのが、私のようなスポーツが苦手な方が世界には大勢いるということ。スポーツ庁が発表している「スポーツ実施率」によると、日常的にスポーツをしている人は56%程度。つまり40%以上の人がスポーツをしていません。ゆるスポーツは、特にその“40%側”の方々から支持されています。

「生まれて初めてシュートを決めた」「自分もスポーツの場にいていいんだって思えた」。そんな声を聞くにつれ、「“Me to Me”で始めたことが、同じように悩む人のためにもなるんだ」という実感が湧きました。

自分企画書のすすめ

とはいえ、どうやって“Me to Me”に着手していいかわからない。そんなときにおすすめなのが「自分企画書」です。自分を深掘りし、自分の課題を可視化し、自分のためのコンセプトやアイデアへと導くための企画書です。私がおすすめする手法のひとつが「マイ・ベスト・喜怒哀楽」。人生で最も喜んだこと、怒ったこと、悲しかったこと、楽しかったことを書き出すと、そこには人生のリアルや自分の課題、琴線があります。この唯一無二の経験たちから、“Me to Me”を始めます。詳しくは拙著『マイノリティデザイン』にまとめています。

自己中心的はよくないといわれるけれど、あまりにも非自己中ではないかと感じています。もっと自分を中心にしてもいい。なぜならそれは必ず、あなた以外の“We”の力にもなるから。

本連載で発表しているすべてのコンセプトは、実際にビジネスに取り入れられるよう、講演や研修、ワークショップとしても提供しています。ご興味ある企業の方は、Forbes JAPAN編集部までお問い合わせください。


電通Bチーム◎2014年に秘密裏に始まった知る人ぞ知るクリエーティブチーム。社内外の特任リサーチャー50人が自分のB面を活用し、1人1ジャンルを常にリサーチ。社会を変える各種プロジェクトのみを支援している。平均年齢36歳。合言葉は「好奇心ファースト」。

澤田智洋◎コピーライター、世界ゆるスポーツ協会代表理事。福祉領域におけるビジネスも多数プロデュースしている。著書に『ホメ出しの技術』『マイノリティデザイン』『ガチガチの世界をゆるめる』。

文=澤田智洋 イラストレーション=尾黒ケンジ

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